スティーブンのブログ

個人的な理由からのリスク回避

リスクを回避しようとすることそのものには、何も問題はありません。

しかしそれが適度と思われる程度のビジネスリスクの回避、となると話は違います。ビジネスリーダーが自分の部下達が必要以上にリスクを回避しようとすると嘆くことがありますが、実はその根にある懸念は、個人的な理由に基づいていることがしばしばあるのです。

つい先日、営業チームが自分たちの流通経路モデルを見直すのをお手伝いさせて頂いた時のことです。私は彼らに、顧客に直売することが十分可能な環境にあるのに、何故わざわざ販売業者を使っているのか、と尋ねました。彼らの答えは、直売に伴うビジネスリスクが高すぎるから、というものでした。もし顧客が倒産した時に負うかもしれない大きな負債を軽減するために、販売業者を通している、というのです。彼らによると、年に約5パーセントの顧客は倒産するといいます。

しかし、直売モデルにおいて実際どのくらいの経済的な効果があるかを計算して見たところ、かなり極端なシナリオの場合でも、負債による損失は、売上に対して販売業者に支払っている額にくらべると、取りも足らない額であることが判明しました。またそれ以上に重要なことは、直売する事で、商品のエンドユーザーとの関係を築くことができるということです。損失の可能性が低く、得るものが多いと思われるリスクなのですから、これは取るに値するビジネスリスクと言えます。なのに何故その適度と思われるリスクが取れないのでしょうか。

実はこの営業チームが心配していたのは、ビジネスリスクではなかったのです。彼らが怖がっていたのは、彼ら自身が個人的に背負うリスクでした。彼らは自分たちが担当する顧客の未払いの請求書に、各々責任を負わされている、と説明してくれました。その上、彼らは未払い顧客からの支払い取り立ても任されていたのです。取り立てというのは時間がかかり、あまり嬉しい仕事とは言えない上に、他の顧客への営業活動の時間も奪ってしまいます。もちろん顧客に対する彼らの立場も気まずいものとなってしまうでしょう。

いくらこのリスクがビジネスにとって価値のあるものであったとしても、彼ら個人個人にとっては、得るものなど何もなく、不都合な状況になる可能性のみがある、というわけです。

この企業は、結局プロセスを変えました。未払い金の取り立ては、経理部と法務部門に任せ、営業部の人々はセールスのみを行う体制にしたのです。そうすると、直売することへの反対意見は、瞬く間に聞かれなくなりました。

社員が極端にリスクを恐れていると感じているのであれば、その根にある懸念について率直な話し合いをすること。 Click To Tweet

個人的な懸念に取り組めば、ビジネスリスクを回避しようとする傾向も減っていくでしょう。


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