スティーブンのブログ

日本人特有の考え方などというものはない

国籍だとか国特有の文化だとかいったものは、行動様式を説明するのに十分なほど、しっかりしたものではありません。「日本人特有の考え方」などというものも、実は存在しないのです。

私はこれまでに20カ国以上を訪れた経験を持ち、成人してからのその殆どを出身国である米国以外の国で過ごしてきました。日本語とフランス語は流暢に話せますし、イタリア語、ドイツ語、北京語も、まあまあわかります。多少無理をすればスペイン語を喋るふりをすることもできますし、驚くことに周りも私のスペイン語をわかってさえくれます。これまでに世界中の人々と知り合い、一緒に仕事をさせて頂きましたが、それでも出身国のイメージにそのまま当てはまるような方とは一人もお会いしたことはありません。それは本当に大切なのは、国籍ではないからなのです。

私はマインドセットという言葉を、個人個人の持つ成功の要因についての根本的な考えと定義しており、それが行動を左右すると考えています。ですので、誰かが日本人マネージャーの行為を日本特有のマインドセットのせいにするのを聞くにつけ、間違っていると感じます。成功の要因について日本人マネージャー達が全員持っている共通の考え方などないのですから。

少し前、日本にあるヨーロッパ企業のCEOと彼のオフィスで話をしていた時、彼は私にこう言いました。「スティーブ、今、実はうちの営業部副社長のことで困っているんだ。彼は典型的な日本人で、とにかく自分の部下達に相談したり意見を求めたりということをせず、いつも全ての決断を自分一人で行っている。単に社員に有無を言わさず命令をしている、という状態なんだ。このままでは彼の元で働いているトップの社員も、イライラが募って辞めてしまうのではないかと心配している。」

私も、確かにそのような情景を日本人マネージャーの間で見たことはあります。同時に日本人以外のマネージャーの間でも見たことのある光景でもあります。

それから間もなくして、またこのCEOのオフィスを訪ねる機会がありました。今度言われたのはこのような内容です。「スティーブ、マーケティング部の副社長のことで困っている。彼は典型的な日本人で、自分のチーム全員から同意を得られない限り、どのような決断も下そうとしない。とにかく一人一人に相談し、彼らの意見を聞き、全員が賛成するまで何もしようとしないんだ。そのせいでマーケティング部では何も進展が見られていない。」

これもまたよく見られる情景です。しかし、上のまるで逆の2つの態度が両方典型的な日本人のそれであると言えるのでしょうか。

最近のこと、著名なドイツのグローバル会社で、世界中の支社における企業文化改革の責任者であるマネージャーと話す機会がありました。彼はつい先日日本のチームのための新商品コンセプト考案のためのワークショップを終えたばかりで、ワークショップ中は、参加者に進歩を遂げてもらうために、彼らを常におだてたり刺激したりしなければならなかったといいます。

「もっと真剣に取り組んでくれると思っていたんですけどね。」と彼は話してくれました。「アメリカ人のチームのように積極的ではありませんでした。」しかし彼はそう言ってから、オレゴン州ポートランドで似たようなワークショップを行った時も同様なことがあったことを思い出しました。

人というものは、こうすれば上手く行く、(或いは少なくともこうすれば成功を逃すことはない、)という基本的な個人個人の信念に基づいて行動するものです。こうすれば上手くいかないと信じているようなことは避けますし、それはそういった考えが間違っていたとしても同様です。国籍など関係ないのです。

先週、私は地方の営業責任者のチームのためのワークショップを行いました。彼らは全て日本人で、CEOは以前、彼らのことを「保守的で典型的な日本人」であると私に説明していました。このCEOが彼らのことを話す時には、「アジア人の考え方」だとか、「日本人のマインドセット」だとか言った言葉が何度も使われたのを覚えています。

CEOは、営業方法、力を注ぐ商品、顧客の優先順位のつけ方などの変革が盛り込まれた戦略を掲げていたのですが、営業責任者の方々はこれに反対していました。ワークショップの2日前になってもワークショップの開催についてさえ熱心に抵抗していたのです。

そこでCEOは私に電話で相談してきました。彼女はワークショップを行っても状況は変わらないのでは、と心配しており、ワークショップの中止さえ考えていました。彼らのマインドセット考えると、この先一緒に仕事をやっていけるかどうかも不安なようでした。

「心配には及びませんよ。」と私は彼女に言いました。「大丈夫です。」そして実際、ワークショップは成功に終わったのです。似たようなことは他の企業の日本の営業チームでも、そして日本国外でも見たことがありましたので、大きな問題にはならないと私は確信していたのです。

この営業責任者たちからの抵抗は、日本人であることには全然関係なく、その理由は、提案されていた変革が成功を導いてくれるとは思えない、という彼らの考えからきているものだったのです。ワークショップで私がやらなければならなかったのは、この変革を行うことによって成功するためのやり方でした。改革について彼らを説得する必要さえなかったのです。自分たちでしっかり納得してくれましたから。

ワークショップの午前中に彼らが感じていた抵抗する気持ちはだんだんかき消され、それは改革に対するやる気にと変わって行きました。そして午後になる頃には、自分たちから積極的に改革の計画に参加するようになっていたのです。私がそう仕向けるようなことは殆どなかったのに、です。その日のうちに起こったマインドセットの変化を目の当たりにし、CEOは大変驚いていましたが、一方で私はそうなるだろうな、と最初からわかっていました。

国民特有のマインドセットなどというものはありません。上記のマネージャーたちも、ワークショップの終了時にも、午前中と同様、日本人であったことに変わりないのです。私は、マインドセットを変えるには成功についての考え方以上に説得力のあるものは存在しないと長い間信じてきました。国籍など全然関係ないのです。

社員の態度に困っていらっしゃいますか。それを国籍のせいだと考えて、他の国籍の人を代わりに雇ったりするのは間違いであるし、ましてやそれを人を解雇する理由にしてはならない。 Click To Tweet

成功の要因に対する考え方を変えさせましょう。上手くいくより良い方法を示すのです。殆どの人の場合、それだけやれば十分なのですから。


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