相手を説得する秘訣:自分の正当性を訴えたければ、逆に間違っている可能性を示唆すること

トップレベルの重役やマネージャーであれば、グローバル、地域、自分の責任のある管轄下のみ、といった違いはあるかもしれませんが、戦略を練り、それを発表するように言われることがあるはずです。そういった時、多くは多大なデータを使って自分の戦略がいかに正しいかを示すプレゼンテーションを作成し、相手を説得しようとするものです。なぜその戦略方法に行き着いたかをサポートする論拠を示すわけです。しかし、自分の戦略の正当性を訴えるのに一番効果があるのは、実はその戦略が間違っているかもしれないということを話すことだということをご存知でしょうか。

全ての戦略というものは、それが明白に示されているかどうかという違いはあれ、仮定に基づいています。例えば、「この戦略は、日本市場において大きな競争相手が3つのみいる、という仮定に基づいたものです。」といったものです。さして問題のない仮定に聞こえますね。

しかしこういった戦略上の仮定には、常にリスクを見いだすことが可能であり、そういった観点からのアプローチもできます。「某ブランドはこれまで日本市場に関心を示していなかったが、これから参入してくるというリスクもある」といった見方です。そのようなリスクに対し、あなたならどのように対応しますか。リスクが実現するのを防ぐための行動に出たり、もしリスクが実現した場合にはどのような行動をとるかを計画することができますね。

リスクについて語ることはその戦略について説得する効果を落としてしまうように聞こえるかもしれませんが、実際はその逆です。仮定事項をはっきりさせてそのリスク面を説明し、仮定内容がその通りになるかどうかが判断できる時期も述べた上で、リスクの予防方法と危機管理プランを話せば、あなたの戦略の説得力はかなり高くなる筈です。戦略について十分に考え抜いた上、もしそれがうまくいかなかった場合でも、いかにビジネスを守り抜く準備ができていることを示すわけですから。(そしてもちろん物事というものはいつでも思ったようにいくというわけではありません。)

戦略と戦略管理、実行とは、その内容と同様、プロセスが重要です。もしあなたがしっかりしたプロセスを持っていると示すことができれば、その具体的な戦略内容はそれほど重要ではなくなってくるものです。あなたも戦略内容の開発能力に優れているだけではなく、戦略プロセスを作り上げる能力にも秀でている管理力のある人間として捉えられる筈です。

何もしないことによる生産性の向上

自分の専門分野で飛躍的な進歩を遂げる一番のやり方は、何もやらない時間を予定に組み込むことです。経営というものは主に頭を使う仕事で、直接手を使ってやる労働とは異なります。特にレベルの高い経営者になると、頭を使う仕事の割合が一層高くなるものです。我々は、アイディアやイノベーションの力で、ビジネスを成長させていきます。ある素晴らしいアイディアが、意味のない多くの会議や必要のない長いプロセスなどを排除したり、利益を急成長させたり、社員の能力を高めたりすることだってあるのです。こういったアイデアは力ずくで行われる類の労働から生まれてくるものではなく、頭を空っぽにした時に湧き出てくるものです。最高のアイディアが出てくるのは、一所懸命仕事をしている時より、何もしてない時の方が多いのです。

経営者として我々は常に、何もやらない時間を持つべきです。もし起きている時間の殆どを仕事に当てようとして、新しいアイディアを生み出す可能性を締め出すほど頭を一杯にしてしまったら、向上や成功は望めません。仕事において一番大切な部分は、皮肉にも、仕事をしないということなのです。

何もやらない時間を自分のスケジュールに入れましょう。例えそれが営業時間内であってでもです。その時間を使って、散歩したり、博物館に行ってみたり、歩道の喫茶店で通り行く人々を眺めてみるのです。頭をすっきりさせて、新しいアイディアが生み出せる環境を作ってください。何が見えてきましたか。その見えてきたものは、どうあなたのビジネスや人生に関係しているでしょう。そうやっていると、頭がリラックスして空っぽになったような気がするかもしれませんが、その後関わっているプロジェクトに戻ったら、新しいやり方が見えてきたりするものです。何もやっていないと思っていても、無意識に、我々の頭は常に自分がぶち当たっていることについて考えているのです。

大変成功している私のクライアントも、良心の呵責など感じることなく、仕事のスケジュール内に、何もやらない時間を組み込んでいます。実際、私の知っているマネージャーの方々でも、成功している方々は勤労時間も短いものです。勇気さえあれば、あなたも実行できることだと思われませんか。

日本の中年中間層男性マネージャー達:ビジネスリーダーの衰退

創造力や画期的なアイディアの欠如。やりすぎとも言えるリスク回避。変化や新しいことへの恐れ。決まった事をこなし、度々残業はするが、仕事の能率が低い。貪欲さに欠けている。積極さがない。優柔不断。率直な意見を述べることで誰かに反対されるのを怖がっている。英語が嫌いで、英語習得の必要性を示唆されただけで嫌な顔をする。

これは日本の習慣のせいだという人もいます。私も東京で上記のような日本人マネージャーを多く目にしました。

私は東京から電車でほんの45分のところにあるつくば市に住んでいますが、まるで違う世界のようです。つくばはアウトドア派スタイルの街と言えます。ここでも私は多くの中年、中間層マネージャーに出会う機会がありますが、彼らは私と同じくランニングやハイキング、サイクリング、水泳等のアクティビティーを行っています。また楽観的でエネルギーに満ち、生き生きした人たちばかりです。面白いビジネスのアイディアも出してきますし、新しいことに挑戦することも楽しんでいるようです。多くはある程度英語がわかり、できない人もびくびくすることなく英語で話そうとします。東京で会う中間層マネージャーの人たちとは全然違うように見えるのですが、実は似た者同士でもあるのです。

リーダーとして、我々がどうしようもなく縛られている日本文化の欠点などというものはありません。リーダーとは文化を作るものであり、それができなければ、現存の文化にはまってしまうことになります。日本でも、また世界のどこであっても、それは我々がチョイスしなければならないことなのです。

(この記事を、毎朝仕事前に筑波山に自転車で登る60歳のマネージャーに捧げます。あなたは素晴らしい!)