スティーブンのブログ

文化に敏感になることではなく、文化センスメイキングが大切

国際ビジネスで成功する為に一番の妨げとなるものは、文化に対して敏感になってしまうことです。

こういうことを言うと驚かれるかもしれませんね。反対意見をお持ちの方も多いかと思いますが、ちょっと落ち着いて私がこれから言うことも聞いて見て下さい。必要なのは敏感になることではなく、文化センスメイキングであり、この二つは別物です。誤解しないで頂きたいのですが、私は外国人嫌いというわけではありません。外国語や外国文化のエキスパートになるというのは素晴らしいことです。しかし、周りの文化に順応する為に自分の知識を使うことと、文化を変革することには、違いがあります。

文化に敏感になることの目的は、文化の違いに神経質になることで、周りの文化に合うように自分の行動を調節することです。文化センスメイキングはその逆で、共通の文化を模索し、周りの人々の行動に変化を起こします。文化センスメイキングでは、文化に対して働きかけますが、文化に敏感になってしまうと、文化があなたに働きかけることになります。

もしあなたが文化に神経質で日本の企業のリーダーになれば、今までのように簡単に人の雇用、解雇、昇進などを行うことができないという結論に行き着くでしょうし、また、自分の経営方法を日本文化に沿ったものに変えなければならないとも感じるでしょう。日本の企業はユニークです。その多くは、他国では一般的な能力、成果に基づいた人事制度ではなく、終身雇用や年功序列制を採用しています。長期にわたる忠誠を示した社員は、大きなミスでもしない限り、大体予想のつくような時期に昇進させてもらえるようになっています。ですので、日本人マネージャーは可能性の低いリスクであっても避けようとすることはよく知られていますし、外国人のマネージャーであれば断固とした姿勢を示すような場合でも、躊躇することが良くあります。

日本にいる文化に敏感なリーダーは、変革を急ごうとはしません。変革を無理押ししたり早急に行おうとすると、階級間の不和の原因を作ってしまうことになりかねません。例えば対して成果を出していないマネージャーより下にいた優秀な社員を昇級させたりすれば、日本の社会秩序を乱す過激派として見られるでしょう。また、社員をクビにでもすれば、とんでもない罪を犯したかのように扱われてしまいます。そして周りはあなたに対しての不信感を募らせ、あなたの会社は新卒就職希望者の間で評判を落とし、取引先や顧客はこの先の関係を見直し、場合によっては大量の退職希望者が出てくる可能性もあります。文化に無頓着なリーダーは災難の元というわけです。

文化に敏感なリーダーは、戦略的な決断を下すときでも、実際に行動に移す前に可能な限りの文化的な影響を考える為、躊躇するようになります。そしてリスクを極端に恐れる日本人マネージャーとまるで同じように行動するようになってしまいます。本社の役員たちには、日本のビジネスは他の国の事業とは違った扱いを受ける必要があり、日本ビジネスに期待するものは、調節されなければならないと説明します。そしてあたかも企業内の日本専門家のようになってしまうのです。もっと正確に言えば、企業内の日本擁護者といったところでしょうか。役員の中には、あなたが日本に慣れ過ぎてしまい、それを是正する為に、本国に戻すべきだと考え始める人もでてくるかもしれません。文化に敏感になるとこのような影響が予測され、それが異文化間コミュニケーションという分野が、ビジネス結果を出すためにこれまで殆ど役に立っていない理由です。

文化センスメイキングを行う人は、文化間の共通点を見出そうとします。日本以外の国々でビジネスを強くするものは、日本でも同様、或いはそれ以上の効果をもたらします。文化間の違いは、それに逆らう為に存在するものです。飛行機が風に向かって進むことで最大の上昇力を得るように、ビジネスも文化的常識と考えられていることに立ち向かっていくことで、大きな成功をつかむことができるのです。

日本人はユニークではありません。終身雇用制も年功序列制も、企業の競争力を弱め、社員のやる気を無くさせるものです。このような態度、結果は、ビジネスにも、政府での官僚主義にも、大学にも見られます。つまりこういった制度は蔓延しているだけ、ということなのです。

実力主義を掲げる企業は、たとえ日本でも、ダイナミックでやる気のある人材を惹きつけます。そのような人材をサポートし、希望するようなスピードでの学びや成長を助けると、社員は企業を離れることはありません。しかし、全ての人材がダイナミックでやる気があるわけではありません。彼らは退社したり、或いは解雇されます。日本でも海外でも、ビジネスの競争力を上げたいのであれば、諸悪の根源である終身雇用や年功序列を無くすべきです。ある著名なグローバル企業の日本支社のリーダーは、実際、それを実行しました。

この企業では、終身雇用制と年功序列制は会社の方針に含まれており、営業スタッフの労働組合の契約によって守られていました。そしてそれは、経営陣が会社を成長させようとしたり改革をもたらそうとする度に、ネックとなっていたのです。営業スタッフはいわゆる典型的な日本人社員で、リスクを恐れ、何にでも躊躇していました。労働組合との交渉も何にもなりませんでした。そこでこの企業の経営陣は、文化に無頓着とも思われるような行動を取りました。彼らは新しい市場やビジネスを開拓する為に、能力主義を掲げる、組合のない支社を設立したのです。

しかしこの文化に無頓着と思われた行動は、意外な結果を生み出しました。日本人営業スタッフの10%が、これまでの組合に守られていた仕事を辞め、新しい支社での仕事を志願したのです。それを見た組合の代表者やメンバーはもちろん嫌な顔をしましたが、それでもストライキを起こしたり大勢が退職を申し出たり、ということはありませんでした。顧客や取引先もこのことで動揺するようなこともなかったのです。そして新しい支社は、組合の存在する親会社より業績を上げるようになったのです。

新しい支社に加わった営業スタッフは、まさに経営陣が求めていたタイプの人材でした。それまで彼らは、保守的な会社のシステムに抑え付けられていたのです。もし新しい支社が作られなければ、この企業はまさに必要としていた人材を失っていたでしょう。そのような事態になっていれば、もちろん優秀な社員にとっても、会社の株主や顧客、取引先にとっても、フェアとは言えなかった筈です。同時に凡庸な人々に恩恵を与えていたわけですし。

この企業は求職先としての評判を下げると思いますか。多分そうでしょうね。安全で快適な仕事を探している人達は、この会社には応募してこないでしょう。本当に優秀な人材のみがこのような企業に魅力を感じるはずです。

私は文化センスメイキングを選びます。あなたはどちらが大切だと思いますか。


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