部下へフィードバックの方法

マネジャーの役目の一つに、部下を育成し、彼らが伸び、成長していくのを助けるということがあります。その為に、優れたマネージャーは個々の部下の仕事ぶりに対し、頻繁にフィードバックを与えます。これに関してよく聞かれるのですが、フィードバックとはどの位の頻度で、どのような形で与えるのが適切でしょうか。

私は、特に営業のマネージャーやチーフの方には、個人個人の業績評価を行い、フィードバックを与える為の簡単な面接を、月に一度の割合で行うことをお勧めしています。こう言うと驚かれることがよくあります。多くの会社では、すでに人事からの指示で、年に1~2度、個々の勤務評定を公式に行なっているからです。

しかし私がお勧めしているマネージャー・スタッフ間の簡単なミーティングというのは、人事の指示による公式勤務評定とは異なったものです。目的からして違うのです。この簡単なミーティングはマネージャーに納得のいくような業績を出せるよう、スタッフをサポートする為のものです。また、このミーティングはマネージャーとスタッフの二人だけの間で行われます。

スタッフの業績を評価する為の非公式なミーティングをしばしば行うことには、多くの利点があります。まず、早めにフィードバックを与えられるため、スタッフの業績上昇を促し、また欠点を直すことを素早く助けられるという点が挙げられます。結果、マネージャーも早めにスタッフの業績改善による恩恵を受けることができ、チームの業績の伸びの加速にも繋がるのです。加えて、人事の指示によるフォーマルな業績評価面接の前に、スタッフが改善点に取り組めるチャンスを与えることもできます。すると、マネージャーとスタッフのどちらにとっても、実際の業績評価が楽に行えるようになります。その時になって、想像だにしていなかった嫌な評価を出される、などということはなくなるのですから。最後に、この非公式ミーティングは、月に一度、スタッフが安心してマネージャーにアドバイス、助言を求められる場を提供する、というのも利点と言えるでしょう。

性格特性や態度ではなく、観察可能な行動に対しての評価をすること

メンバーにフィードバックを与える場合、性格ではなく、観察できる行動に焦点を絞ることが大変重要です。例えば、スタッフに「君は積極的に取り組む姿勢が足りない。どうしてもっと積極的になれないんだ。」などと言ってはいけません。

こんなことを言うと、スタッフはどのようにあなたの言葉を受け取るでしょう。「積極的に取り組む姿勢が足りない」とは、実のところどういう意味を持っていると思いますか。その改善のためには、スタッフは何をしなければいけないのでしょうか。

性格に基づいたフィードバックは曖昧ではっきりせず、スタッフメンバーもフィードバックを受けても、何をすれば良いのか殆どわかりません。その上、不公平と見られるというリスクも伴います。例えば、そのようなフィードバックを受けたスタッフは、「上司は何のことを言ってるんだ。私は仕事上、本当に積極的なのに。」などと思うかもしれません。

代わりに、そのスタッフのどういった行動を見て、仕事に充分に積極的でないと思ったのか、考えてみて下さい。ある時、ある場面で目撃したある行動に対してのフィードバックを与える、という訳です。

例えば、「先週の木曜日、一緒に顧客を訪問した時、君は顧客のビジネスや考慮中の新しいプロジェクトに関して何の質問もしなかったね。うちのカタログにある商品を薦めただけだった。営業で顧客と会う時には、自社の製品を推す前に、まず顧客のニーズを理解するために積極的に質問をするべきなんだ。このことは前にも話した筈だが、どうなったんだ。それができない理由が何かあるのなら聞かせて欲しい。」と。

このようなフィードバックには格段の効果があります。観察された行動という観点から述べられているからです。スタッフはこれを聞くと、改善の為には何を変えればいいのかということがわかります。マネージャーとスタッフは、この時点でどうやれば改善できるのか、そしてマネージャーはその為にどのような手助けができるのか、といったことを冷静に話し合うことができるようになります。

基準とスタッフに期待されていることをはっきりさせること

マネージャーにとって、業績の善し悪しを判断する上で、どういったタイプの行動、またはどのような観察可能な現象をもって、業績が良いと判断するかを良く考えておくのは、大切なことです。例えば「コミュニケーションがうまい」などという基準はあまりにあやふやすぎます。代わりに良いコミュニケーションとは実際にどのようなものかを考えてみて下さい。スタッフにはどのような行動をとってもらいたいですか。彼らはどのようなことをするべきでしょうか。あなたはどのような結果を見たいのですか。

ここで私は、好ましい行動を導くと思われる重要な能力を選んでおくことをお勧めします。このためには、いろいろ考えてみることも必要になるかもしれません。あなたが見たいと考える観察可能な現象や行動を書き出してみましょう。この時点でスタッフを評価する為の基準ができます。またこの基準を前もってスタッフとシェアすることで、どのような行動や結果が彼らに期待されているのか、またどのように評価されるのかが、彼らにもはっきりわかることになります。結果、業績向上の手助けともなるのです。

非公式なフィードバックのシステムを実行

では、どうやってこのシステムを実行すればよいでしょうか。

  1. まずは評価の基準を作成するところから始めましょう。個々のパフォーマンスにつながる重要な能力を選んで下さい。観察可能な行動、現象、結果といった面で、どのようなものが成功なのか、具体的にしましょう。最初は6~12程度の基準から始め、シンプルにして下さい。
  2. スタッフに出来上がった基準を見せてあげましょう。基準がクリアでなければ、スタッフの業績向上の手助けにはなりません。
  3. スタッフ個別のスプレッドシートを作って下さい。ひとつひとつの能力につき、評価をしましょう。評価には1~5(5が最高レベル)の数字を使います。定量測定についてはあまり神経質になる必要はありません。ご自分の判断基準を使って頂いて大丈夫です。ただ、スタッフに、観察された行動と基準という面から、評価の説明ができるようにはしておきましょう。
  4. 月に一度の簡単な評価面接を、個々のスタッフと行って下さい。面接では、あなたが行った評価を見せてその説明をし、どのようにすれば改善できるのかを話し合いましょう。そして次の月のミーティングまでに改善が見られるよう、スタッフに責任を与えます。このミーティングは20~45分程度に短く抑えましょう。
  5. 毎週、時折時間をとって、スタッフの行動を観察し、メモして下さい。観察した行動を書き留めることは、次回の評価面接の準備に役立ちます。記憶に頼るのはよくありません。

上記のシンプルなやり方を試してみましょう。上手に行うことができれば、きっとあなたのチームが加速度をつけて改善していくのが見える筈です。