スティーブンのブログ

説得力のある戦略とは

トップレベルの役員やマネージャーであれば、戦略を立ててそれをプレゼンする機会を与えられることがある筈です。彼らの多くは、自分の作った戦略が正しいことを証明するための長いプレゼンテーションを用意します。しかし、真に説得力のあるマネージャーであれば、逆に何故自分の戦略が間違っている可能性があるか、という理由を並べる筈です。

どんな戦略でも、パワーポイント上では完璧に見えます。大抵の戦略内容を合理的な論拠で正当化することは可能ですし、自分にとって理想的な結論に持っていくために使えるバックアップ用のデータも、見つけようと思えば大体見つかるものです。

戦略の全ては大きな仮定事項に基づいています。 Click To Tweet

戦略の全ては大きな仮定事項に基づいています。でも未来のことが全て確実にわかる人などいませんから、その仮定も間違っている可能性はあるわけです。できるマネージャーというのは自分の戦略にあるリスクを認識し、そのリスクにどう対応するかというところまで戦略に入れています。

例えばある戦略が、自分たちの市場には主に3つの競合相手しか存在しないという仮定に基づいていたとしましょう。そこで自分の仮定に対し、「もしこんなことが起きたら・・・」という疑問を投げかけることがリスクを認識することにつながります。日本の保険会社のための戦略を立てている場合であれば、有名かつその動向を比較的予想しやすい競合会社が、その仮定の一部になっているかもしれません。そんな中で、グーグル・ジャパンがその豊富な所有データと財政力を武器に保険商品を売り出すことも有り得るとは思いませんか。そのようなことが起これば、日本のメジャーな保険会社の戦略に与える影響は計り知れません。

リスクを特定したら、それに対する4つの対応策が考えられます。

  1. リスクが実現する可能性を抑えるための予防処置をとる。
  2. リスクが実現してしまった時のための準備を行う。
  3. 予防処置と不測事態発生のための準備の両方を行う。
  4. 何もせず、リスクとそれがもたらすかもしれない結果に甘んじる。

保険会社であれば、想定される競合相手からの脅威を最小限に食い止めるためのこのような予防対策をすることが可能です。

(1)迅速なイノベーションと新しい保険商品の販売を可能にするために、インフラをアップグレードする。

(2)顧客が自分で保険の内容を変えたり、新しい保険をカスタマイズして購入することができる、オンラインプラットフォームを開発する。

(3)ソーシャルメディアやニュースといった、まとまりのない最新データを、保険に使えるような機能を開発する。

(4)将来競合相手となる可能性があり、規制の厳しい保険業界に詳しい保険会社と繋がることが利益となるような企業(例えばグーグル)と提携する。

予定がうまくいかない可能性やうまくいかなかった時の対処法について真剣に話し合うと、そこには自信や信頼が生まれます。できる上司であれば、不慮の事態が発生した時にも戦略を遂行するためのプロセスをあなたがじっくり考えていることについて、感謝の念を抱く筈です。

不慮の事態について話す時、以下の4点が重要になってきます。

  • 簡潔に戦略とその論拠を述べましょう。ビジネスをしっかり把握していれば、どんな戦略でも2〜3文もあれば説明できます。
  • 戦略のベースとなった仮定事項を挙げます。大体3〜5の仮定事項で十分でしょう。
  • それぞれの仮定事項を立証する方法を説明します。
  • それぞれの仮定事項を今度はリスクとして捉えて説明します。各々のリスクに対する対応策を述べ、その論理も説明してください。

最も説得する力のあるマネージャーは、単に自分を正当化することで終わらせません。自分が間違っていた時のための納得のいくプランを説明します。あなたもそうすることで戦略をより説得力の強いものにし、また戦略マネージャーとしての手腕も飛び抜けていることを周りに認めてもらうことができる筈です。

(このブログ記事に基づいた記事は、2017年8月10日付の日経産業新聞Smart Times欄にも掲載されました。)


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