スティーブンのブログ

peak performance

ピーク・パフォーマンスのための6つの習慣

以前、日本航空のファーストクラスを利用した時にこのような経験をしました。搭乗時には”Welcome aboard, sir!”と英語で客室乗務員に挨拶されるのが普通なのですが、この時は日本語で「ブライスタイン様、お待ちしておりました!」と声をかけてもらったのです。彼女は私の名前を知っていただけではなく、私が日本語を話すということも知っていたのです。(私は日本語を話せない、と思われることが普通なのですが。)

飛行機が水平飛行に入ってから、私は席を立ってこの客室乗務員のところまで行き、どうして私についてのそういったことを知っていたのか、尋ねてみました。聞いたところによると、彼女はファーストクラスのリストに載っている搭乗者を全員前もってグーグルで調べるのだそうです。そしてファーストクラスに乗る人々に関する情報は、そこから得られる情報がかなり多いのだとか。彼女はそうやって乗客と会話をする時のために、そのひとりひとりについて知っておこうという努力をしているのです。

彼女は私のビジネスや本のこともウェブサイトを見て知っていましたし、日本のビジネスメディアに取り上げてもらった記事もいくつか読み、私のブルームバーグのインタビューや日本語でしゃべっているビデオなども見てくれていました。どうりで私に日本語で話しかけても大丈夫だと知っていたわけです。私の顔もサイトで見ていたので、すぐに分かったのですね。

これが日本航空で新たに取り入れたやり方なのか、という私の質問には、彼女は首を横に振りました。このようなことをやっているのは彼女だけのようです。つまりこれは100パーセント彼女が生み出した、素晴らしいイノベーションなのです。

優秀なフライトアテンダントであれば素晴らしい顧客サービスを提供してくれるものです。しかしこれがピークパフォーマンスを提供するようなフライトアテンダントとなると、顧客と関係も築くのです。

ピーク・パフォーマンス

ビジネスの世界では「ピークパフォーマンス」という言葉がよく聞かれますが、その定義については耳にしたことがありません。私は私なりの定義をしています。私が考えるピークパフォーマンスとは、卓越したビジネス結果を生み出す行動様式のことを指します。

ピークパフォーマンスはエクセレンスに繋がります。上にあげた日本航空のフライトアテンダントもピークパフォーマーと言えます。そして彼女のようなピークパフォーマーには以下に挙げる6つの特徴が見られます。

1. 自発的に行動する。

ピークパフォーマーは、自分の仕事の目的を果たしたり、ビジネスの目的に向けて前進するようなチャンスが目の前にあれば、上司からの指示や承認がなくとも行動を起こします。そしてマネージャーには自分がやっていることを単に伝えておくだけです。彼らはとにかくアクションをとります。前もって認可を得るのではなく、まずは行動するのです。そして問題があれば自分を止める責任はマネージャーにある、というスタンスをとります。大体問題が出てくるようなことは滅多にない、というのが現実です。

ある研究開発部のマネージャーは、最近会社が販売を始めた新商品の感想を聞くために顧客にインタビューをしてみることを自分で決めました。そのデータを使って商品の改良に役立てたかったからであり、またそれは彼の責任分野でもありました。

上司が彼のイニシアチブを止めることはありませんでしたし、彼も許可を得ようなどとはしませんでした。この研究開発部マネージャーは単に自分が決めて実行に移したのです。営業部からの許可を得る代わりに、営業部長には自分のやっていることは伝えておきました。顧客へのアンケートというのはマーケティング部が時折行ってはいましたが、それを待つこともせず、一方で自分が行ったアンケートをマーケティング部とシェアはしました。

自分のスタッフが上からの指示を待つ代わりにもっと自発的に動いて欲しい、という嘆きをよくマネージャーの方々から聞きます。そして彼らはそうなるにはどうすれば一番良いのか、私にアドバイスを求めてきます。

スタッフは自分の上司の行動を模倣するものです。ですからマネージャーの方々も、ご自分の上司からの指示や承認を待たずに自主的に行動するべきだ、というのが私からのアドバイスです。

上からの指示や承認を得てからでないと行動しないようなマネージャーが、自分の部下にどんどんアクションを起こして欲しいなどと期待するのは、現実的とは言えません。スタッフの態度を変える鍵は、自分自身が彼らの見本になるような行動をとることにあります。

2. 学ぶことは自分の責任であると考えている。

ピーク・パフォーマンスで働く人達は、会社がアレンジしてくれる研修などの機会をじっと待ったりはしません。会社がそういったチャンスを与えてくれようがくれまいが、自分で常日頃から勉強を怠りません。

少し前に、営業チームのメンバーの何人かが会社が十分なトレーニングをさせてくれない、と嘆いていました。そこで彼らに営業についての本を読んだ人がいるか、と聞いてみると、手を挙げたのはたったの二人でした。そしてその二人はそのグループの中でも営業成績の高い社員だったのです。

ピークパフォーマーと呼べる営業スタッフであれば、常日頃から営業についての本を読んでいるものです。優秀なマネージャーの場合は、ビジネス戦略に関する本を読んでいます。そしてレベルや職種に関わらず、できるスタッフ、マネージャーは、例え初歩から始めなくてはならなくとも、また歳をとってからであっても、英語の能力をブラッシュアップしようとします。

この時代、自分では勉強することができないなどという言い訳は通じません。13歳になる私の息子など、つい最近、私にC++プログラム言語や財務分析の基礎、コンピューターとMIDIソフトを使っての楽曲作りを全て無料のサイトで勉強しました。彼ができることが他の人々にできないわけはありません。

あなたもマネージャーであれば、自分の部下が自分で勉強することを期待しても何の問題もありません。ただ同時に彼らの努力をサポートすることも忘れてはなりません。数年前、楽天市場CEOの三木谷浩史氏が、日本にある本社も含め世界中の楽天オフィスで英語を公用語とした話は有名です。この大胆なイニシアチブは、当時のホンダの社長をして、「バカな話」と言わしめたほどです。

三木谷氏はそのような非判定な意見には耳も貸しませんでした。彼はあるレベル以上のマネージャー全員に、3年以内に英語が喋れるようになることを強制しました。もし達成できなければ、会社内の地位も危うくなるかもしれないとまで言ったのです。社員がどのようにして英語を学ぶかについては、社員にまかせました。仕事上の責任をしっかり果たしてさえいれば、会社の就労時間を英語の勉強に使うことまで許したのです。三木谷氏のこのイニシアチブは、8割の成功率を納めたと言います。

三木谷氏によるとこの動きは真のグローバル企業を作るためだったそうで、確かにそれが一番の目的だったとは思います。しかし彼は同時に、ずっと勤務し、昇進してもらいたいと思えるようなピークパフォーマーは誰かを見つけ、そうでない社員には自分から辞めてもらえるような機会も作りたかったのではないでしょうか。

3. 適度と思われるビジネスリスクを負う

私がここで言うビジネスリスクとは、予想される損失より得られるものの方が大きいと考えられるようなリスクのことを指します。

どのような時でも、得られるものが大きく、好ましくないリスクが低いものを選んでアクションを取りましょう。全てが上手く行くということはないかもしれませんが、全体的に見ると、失うものより得られるものの方がずっと多いはずです。これはあなたにとってもあなたのビジネスにとっても良いことと言えます。これはビジネス戦略や金融投資、また一人一人の仕事に於いても同じことです。

ピークパフォーマンスを続ける営業スタッフは、購買決定権のない、いわゆるゲートキーパーの役割の人々と契約内容を話し合ったりすることはありません。彼らに提案書を出したり、価格について相談したり、提案書を出したり、見積もりを出したりといったことは決してしないのです。ピークパフォーマーは、自分の権限で購買を決定できる真のエコノミック・バイヤーとしか交渉を行いません。

これは、優秀な営業スタッフであれば、ゲートキーパーに提案書を渡しても、それがうまくいく可能性が非常に低いことを知っているからです。またできる営業スタッフであれば、エコノミック・バイヤーとのみ交渉すれば、成功する確率が高くなります。

ですから、ゲートキーパーと話す時には、エコノミック・バイヤーに紹介してもらうことを丁寧にお願いしましょう。もしそこでゲートキーパーが何らかの理由でバイヤーにつないでくれないような場合は、ピークパフォーマーであればゲートキーパーを飛ばして直接バイヤーに連絡するか、もしくはそこは諦め、もっと良い見込み客を探そうとするものです。

ピークパフォーマーと言える営業スタッフは、エコノミック・バイヤーと交渉することを、予想される損失より得られるものの方が大きく、成功率の高いチャンスであると見ます。そうすればゲートキーパーの機嫌を損ねるというリスクはありますが、それによる損失はとるに足らないものと言えるでしょう。もしエコノミック・バイヤーが購入する、ということになれば、その機嫌を損ねてしまったゲートキーパーも、上司の言うことを聞かざるを得なくなります。例えバイヤーが提案を却下したとしても、ゲートキーパーを通して提案書を提出した場合と何の変わりもありませんから、損失は無い筈です。もしゲートキーパー抜きで直接コンタクトをしてきたことにバイヤーが怒ったとしても、だから困るというわけではありません。どちらにせよ契約はもらえなかっただろうし、そのような顧客と仕事ができるとも思えません。もっと理想的な見込み客はたくさんいるのですから、そちらへの売り込みにフォーカスを移す方がずっと良いと思えます。

4. プロセスに従うだけではなく、ビジネス上の結果という観点から行動する

ピーク・パフォーマンスの敵は官僚主義だと言えます。ここで言う官僚主義とは、「結果より、方法が大事」という考え方のことです。

ある企業では、例え在庫が残っていたとしても、予測されていた受注数を超えてしまった場合は、営業スタッフは顧客からの注文を取るのを止めてしまいます。実際の売上高と予測されてたものとを一致させるためなのでそうです。結局のところ、正確さとは重要業績評価指標を意味しますから。

予測されていたより多くの売り上げを出してしまうと、その差異はレポートに表れ、ビジネスにとっての利益には関係なく、どういう訳か良くないものと見られるのだそうです。それが予想以上の売り上げにつながる顧客からの注文を断り、自社にも顧客となりうる企業にとっても機会損失となることはもちろん、在庫品を廃棄せねばならないということを意味しても、です。

この会社の社長は、マネージャーがある時これがいかにバカげたことであるかを指摘するまで、このようなことが行われていることにまるで気付いていませんでした。そして彼は重要業績評価指標など忘れろ、と、この妙なやり方を直ちに廃止したのだそうです。

ピークパフォーマーは、様々なことのやり方を考える時、いつでも何がビジネスにとって最適か、という事を念頭においています。例えそのために必要のない決まり事を無視したり、プロセスや規則に疑問を呈する必要があったとしても。また彼らは変革を起こすことがビジネスにとって最適であると思われる場合には、社内で人と対峙することを避けようとしたりはしません。あなたもピークパフォーマーでありたいのであれば、地位に関係なく、そうあるべきです。

特に部下を持つマネージャーの方々には、力を持つ同僚や上司に意見をしなくてはならないような場合でも、必要のない規則ややり方に疑問を呈することが大事です。自分のスタッフにも同じような態度を期待するのであれば尚更です。もしそうすることで抵抗にあったとしても、気にする必要はありません。ビジネス結果に対する責任を持つ人を探しましょう。金銭的なことも気にしないでください。上に挙げたマネージャーも、このようなバカげた官僚的なやり方をストップするために、社長にまで訴える必要があったのですから、あなたもそうしなくてはならないかもしれません。

5. イノベーションに取り組む

意外かもしれませんが、企業内での殆どのイノベーションは、直接顧客に携わるスタッフやまだ比較的仕事歴の浅い社員から生まれることが多く、研究開発部やどこか離れた場所で高級な椅子にふんぞり返っているような役員から、ということは少ないと言えます。

イノベーションの良い例であるマイレージクラブは、1970年代にアメリカンエアラインのマーケティングチームから生まれました。このアイディアは大ヒットし、あらゆる航空会社はすぐさまこれをまね、現在ではロイヤルティ・ポイントは航空業界以外でも当たり前のものとなっています。最近聞いた話では、ユナイテッド航空のマイレージポイントは会社の貸借対照表にも資産として載せられていますが、その価値は20億ドルを超えると言います。

1990年代の日本においては、NTTが世界で初めてインターネットにつながる携帯電話、iModeを開発しましたが、これは職歴の浅いスタッフからでたアイディアから生まれたものです。またもっと最近で言うと、チョコレート業界で有名なゴディバの日本支社では、コンビニエンスストアのコーヒーメーカーで作られる飲料品に溶かして使用するチョコレート製品を同じ店内で販売していますが、これも元々はゴディバのジュニアスタッフからのアイディアなのだそうです。この製品もかなりの成功を収めています。

イノベーションといってもiPhoneのような大きなものである必要はなく、例えば先に述べた日本航空のフライト・アテンダントが行っているようなものでも、結果は出るのです。少しずつでも改善していけば、それは積み重なって大きくなります。1日に1%でも成果を上げることができれば、70日後には今の倍、改善されることになるのです。

また技術的なものである必要もありません。例えば営業プロセス、ビジネスモデル、決定を下す際のフレームワーク、配達方法、商品のパッケージ方法など、あらゆる分野でイノベーションは可能です。誰にでも、ビジネスの様々な面でイノベーションを行うことができるのです。

イノベーションが生まれる背景によく見られることのひとつに、想像もしていなかったイベントがあります。例えばCOVID-19パンデミックはその良い例でしょう。私のクライアントの中にも、緊急事態から立ち直る過程で、ビジネスのいくつかの面でイノベーションを取り入れることで成功したビジネスがいくつか見られます。そしてやはりそれらのイノベーションの多くは、フロントラインで働くスタッフや勤務年数の低い社員のアイディアから生まれたものでした。あなたの会社でも同じようなことが見受けられたのではないかと思います。

マネージャーの方々、あなたの会社ではここのところイノベーションが見受けられますか?もしそうでないとすれば、ただ十分に探していないだけ、という可能性が高いと思います。もっとしっかり探して、見つけて下さい。

多くの企業で起こっている機会損失とは、イノベーションの欠如によるものではなく、イノベーションが気付かれないままで終わってしまっているために起こるものなのです。上記のフライトアテンダントによるイノベーションも、日本航空の管理職の方々には気付かれていません。そのようなことをやっているのは彼女だけです。もし彼女がやっていることを全員がやるようになったら、日本航空のビジネスにとってどのようなインパクトがあるか、想像してみて下さい。

6. 失敗は学びの機会だと捉える

失敗をしない人というのは、新しいことを学ばない人、もしくは大したことを達成しない人です。失敗とは、学習とビジネスの成功において必ず起こることなのです

適度なビジネスリスクを冒せば、成功しないこともありますし、イノベーションから生まれる良いアイディアの殆どは、実際には上手くいかないものです。しかし、ピークパフォーマンスとビジネスの成功のためには、これはどちらも必要なことです。

ですから、失敗とは、何が何でも避けなければならないわけではありません。失敗はネガティブなものではないのです。失敗が汚名だと感じる必要もありません。大切なのはなぜ失敗したかを理解し、いかに将来より良い決断ができるかに役立てることです。そこから学ぶことができる限りは、失敗とうまく付き合っていくべきです。

営業の提案書が却下されれば、その理由を見つけましょう。営業の人間が相手に提案書が却下された理由や、却下されないためにできることはあったのか、などを聞くことには、何の問題もありません。質問するときには、それが個人的に学びたいから聞いていると言うことをクリアにし、相手の決断をひっくり返そうとしている訳ではないことをわかってもらってください。そのような質問に怒る人はいませんし、大抵は却下の理由を正直に話してくれると思います。ピークパフォーマーはこういった質問をするものです。あなたも将来、より良いオファーができるようになるかもしれません。

いくら成功しているビジネスに於いても失敗は起こるものですが、その時、ピークパフォーマーであればどのような時でも、失敗の責任追及ではなく、その原因の追求を行います。部下を持つマネージャーが普段からビジネス上の失敗が起こる度に責任追及ばかり行っていれば、スタッフはビジネスリスクを取ったりイノベーションを行うことを止めてしまうでしょう。しかしビジネスリスクもイノベーションも、成功するためには欠かせないものです。

ですから、失敗から学ぶという理解さえあれば、スタッフが失敗をすることをマネージャーが許すという環境を作ることは大切です。これは悪い業績をいつでも許す、とか、失敗を繰り返しても良い、と言う意味ではありません。何度も失敗を繰り返す、というのは、失敗から学んでいない表れであり、学ばないというのは許されるべきことではありません。

ピークパフォーマーであるマネージャーは、正しい行いと素晴らしい結果のどちらに対しても、評価を行います。もし成功した時だけ評価し、失敗した時には罰則を与えたりすれば、イノベーションを行い適度なビジネスリスクを負うという、ピークパフォーマンスに必要なことを行う気を削いでしまうことにしかなりません。

正しい行動をとってもらいたいのであれば、私が自分のクライアントにも行っているアドバイスを参考にしてください。それは「うまくいかなかった素晴らしいアイディア」を生み出した社員に賞を出すことです。実際私のクライアントにもこれを行い、成功している企業があります。あなたも取り入れて、成功することが可能なのです。

 

あなたのビジネスではこれら6つのうち、いくつを取り入れていらっしゃいますか。今すぐ変革したり改良したりできることはありませんか。強い意志さえ持って臨めば、誰でもピークパフォーマーになることは可能です。正しい行動さえすれば良いのですから。あなたのビジネスにおける正しい行動とは何でしょうか。


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