スティーブンのブログ

インセンティブに効果はない

もし結果を出せばもっと報奨金を支払う、と言われたら、あなたは自分のやり方を変えますか。

過去、この質問を成功されているCEOの方々に何度もしましたが、彼らの答えはいつでも”NO”でした。あなたも同じように答えるのではないでしょうか。

この記事を読んでいるあなたは、きっと聡明で、ベストの結果を出すためにできるだけ多くのことを学ぼうとしているビジネスリーダーの方だろうと想像します。そんなあなたがより多くの収入を得るために現在の仕事のやり方を変えないのであれば、あなたのできる部下が、インセンティブがもらえるからという理由で行いを変えたりすると思いますか。

優秀さは経済的な理由から生まれるものではありません。それは個人の価値観に基づいたものです。そして価値観は報奨金をもらえるから、或いは減給されるかもしれないから、などといった理由で変えられるものではありません。人が高みを目指して努力するのは、その人間性によるものです。自分がどのような人生を送りたいと考えているかというところからきているのです。上記のCEOの方々に、何だかの理由でわざと自分のベストを出さないようなことがあると思うかと聞けば、きっとその多くはそのやり方さえわからないと答えるのではないかと思います。

では、優れているとは言えない社員の場合はどうでしょうか。

凡庸な結果しか出していない社員が、そのボンネットの下には実はフェラーリのエンジンを隠し持っていて、インセンティブを出すと言われたら、そのフェラーリのパワーを全開にする、などということがあり得ると思いますか。

CEOの多くは、平凡な社員が優れた結果を出していないのは、金銭的な理由であるという可能性は低いと見ています。その理由は何か他のものであり、まず報奨金などによって解決する問題ではないでしょう。

実例をあげましょう。日本のある会社のCEOは、英語能力テストで一定以上の点を取ったマネージャーには、10パーセントの昇給を与えることにしました。しかしその結果、マネージャー達の行動にも業績にも、何ら変化は見られなかったのです。

以前から自主的に英語を勉強していたマネージャー達は、以前と同様に勉強をし続け、英語テストも良い点をとって昇級を手に入れました。一方で、もともと英語になど興味のなかったマネージャー達は、いくら昇給がかかっていても今更勉強を始める程の価値はないと考え、何もしなかったのです。

このインセンティブ制度からは結局何の効果も出なかっただけのこと、とお思いになるかもしれませんが、実際には会社にとって、以前より悪い状態を作り上げてしまいました。何人かには結局必要のなかった昇給を与えてしまい、昇給を諦めた社員達には、英語への嫌悪感を正当化するチャンスを与えてしまったのですから。つまるところ、彼らにとってはフェアな取引きとなったのです。以前であれば、マネージャーが全員英語を学ぶというのは、理にかなった道徳的要請であったのに、もうそのようなことは主張できなくなりました。この英語学習ポリシーは、単なる経済的取引となってしまい、約束してしまったことは守らなければならないのですから。

営業マンも、報奨金を提示された時、同様の経済的な取引をしています。実際、いくつかの調査によると、インセンティブ制度を新たに取り入れた会社では、営業成績が落ちるという結果が出ています。

ではどのようにインセンティブを与えればいいのでしょうか。

インセンティブを取り入れなければ良いのです。

人がやる気になるかならないかは、全てその人次第である。 Click To Tweet

卓越性とは、外から上げたり下げたりできるレオスタットのようなものではありません。単にオンかオフの状態のスイッチなのです。あなたにできるのは、良い仕事をすることに価値を見出すような人を雇い、彼らをサポートし、導き、そして邪魔をしないということなのです。

ですから、報奨金袋などはしまってしまいましょう。


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