スティーブンのブログ

大切なのは原因を突き止めること。仮定はすべからず。

つい最近、有名な米国企業の日本支社のCEOより、階層的なものより、フラットな企業組織の方が良いと思うかどうかという質問を受けました。彼の会社では、大切な情報が下から企業内の階層を通じて彼に届くまでに時間がかかるという問題に悩んでいたため、フラットな組織に変えればこの問題は解決するかもしれない、と考えたのだそうです。しかしこの質問自体が間違っています。というのは、その問題の原因が企業組織にあるという仮定に基づいており、その仮定からして正しくない可能性があるからです。

この場合、なぜ情報の伝達が彼が望んでいるほど迅速に行われていないのか、というのがもっと適切な質問と言えるでしょう。彼にこの質問をぶつけると、問題のネックは、どうも二人のマネージャーにあると感じているとのことでした。その理由は別々のものでしたが、少なくとも一人目の場合は、組織をフラットにしたところで解決するものではないし、二人目の場合はそのマネージャー自身に原因があるため、フラット化は一時しのぎの解決策にしかならないということが、彼にも明白に見えてきました。

企業で個人に能力の問題が出てくる理由は、世界中どこにおいても以下の四つに限られます。(うつ病といったメンタルヘルスに関するケースは別ですが。)

  • 「やり方がわからない。」
  • 「やりたくない。」
  • 「やりたくてもできない。」
  • 上記三つの組み合わせのバリエーション。

これらの原因の対処法は、それぞれ異なります。「やり方がわからない。」というケースであれば、教育で解決できます。私はここで「トレーニング」ではなく「教育」と言いました。トレーニングは動物に対して行うもので、人は教育するものです。この違いは覚えておいて下さい。こちらのビデオをご参考いただければと思います。

「やりたくない。」という社員には、彼らが個人的に利益があると感じているエリアに焦点を当ててやる気を起こさせる方法が考えられます。

「やりたくてもできない。」は、構造上の障害物やリソースの欠落が原因です。プロセスの是正、コミュニケーションの促進、権威がオーバーラップしているエリアの境界の鮮明化、十分な予算、人材、時間、インフラ、ノウハウ、テクノロジーの供給、といった解決策が考えられます。

前述のCEOに、その問題のマネージャー達の問題はどれに当たるかと聞いてみると、どちらも多分「やりたくない。」というケースだと思われるという答えが返ってきました。

つまりこのCEOは、「やりたくない。」という問題に対し、「やりたくてもできない。」用の解決策を使おうとしていたわけです。企業組織をフラットにすれば、下のレベルの社員が上司を通さずに情報を伝達することは可能になるかもしれませんが、それでは最初から伝達から抜く必要などなかった上司自身の問題を解決することにはならないのです。その上、このためだけに組織をフラットにしてしまえば、そのことにより、また別の問題が後から湧き出てくる可能性もあります。

CEOは私の意見に賛成してくれましたが、それでもとりあえず目先の問題に対処するには企業組織を変えるのが一番であると感じているようでした。それが正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも彼にはこの問題の根本的な原因がクリアになり、それに基づいて決定を下すことができると思います。

問題を解決するには、まずその根本的な原因を理解することが必須である。 Click To Tweet

このCEOも最終的には「やりたくない。」という問題を対処しなくてはならなくなるでしょう。熟成したウィスキーとは違い、こういった問題は時間が経てば改善するというものではないのですから。

それは彼にもすでにわかっているだろうとは思いますが。


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