スティーブンのブログ

企業の成長とは市場の状況ではなく、気持ちの持ち方によりもたらされるものである

日本企業による海外企業買収の際の投資利益率は、大抵の場合は小さく、時には悲惨な数字になることもあります。

その悲惨な例として有名なものには、東芝によるウェスティングハウスの買収、日本郵便によるオーストラリアのトール社の買収、キリン・ホールディングスによるブラジルのビール会社シンカリオルの買収などがあります。こうした失敗の原因として、企業文化の統合がうまくいかなかったことが時々挙げられますが、本当の原因は統合が成功してしまったことこそが、買収の結果がうまくいかない理由であることの方が多いのです。それは素晴らしい方の企業文化が劣った方の企業文化に飲み込まれてしまった場合に起こります。

日本のあるテクノロジー企業で、買収した海外ビジネスを管理する経営トップの方に聞いたことですが、彼にとって一番大変なことは、買収企業を自社のグローバルビジネスに統合する際に、その企業の成功の要因となっていた能力を壊さないことなのだそうです。例えば、東京本社の必要性のない官僚制度は、子会社のリーダー達をイライラさせ、彼らの敏しょう性をも制限してしまうといいます。シリコン・バレーにある子会社でも同様なことが起こり、不満の募る社員達は、それまで現地会社に与えられていた決定権を失い、代わりに東京本社による不透明な決定が下され、サラリーマン程度に給料は下げられ、過度な残業を求められるようになったと嘆きました。このような買収が元々期待されていた投資利益率をもたらす可能性は低いと思われます。

本社のトップ達はこういった心配を耳にしたとしても、大概何の行動も起こしません。彼らの殆どは英語を話せませんし、海外勤務経験のある人は、さらに稀です。そのような環境では、子会社の方が親会社のやり方に合わせるべきだ、というのが圧倒的な考えなのです。しかし上記の海外ビジネスの責任者は、本当に会社にとって良いのはその逆ではないか、と思案しています。つまり、親会社の方が子会社の文化を受け入れて行くべきではないか、と感じているのです。つまるところ、この企業が海外企業買収によって成長を図ろうとした理由は、本社の企業文化に変化がなく、それが一因となって日本市場での成長が滞っていたことにあったのですから。

ファーストリテイリングのCEO、柳井正氏は、海外ビジネスの買収を始める前に、日本でそのような企業文化を確立しました。柳井氏は、日本のファーストリテイリングで成功した企業文化を基盤として、買収先企業にも素晴らしい企業文化を作り上げるという意図を明確にしていました。成功志向の文化とは、本社で成長をしているビジネスでなければ持てないというものではありません。それにはリーダーであるあなたも社員達も、成長を達成するために学習し変革を行うことを厭わない気持ちがまず必要なのです。

ビジネスにおける成功は、海外で買収したビジネスの安定性ではなく、リーダーが本社で築いた企業文化にかかっている Click To Tweet

成長を遂げるためにまず大事なことは、リーダーが自社に創り上げる企業文化であり、買収先企業の安定性ではありません。成功はまずビジネスリーダーであるあなたの指針から始まると言えます。それができないのであれば、いくら海外企業買収が紙の上では魅力的なものに見えたとしても、投資自体は想像していたほど効果を生み出すことはまずありません。

ひどい場合は、金の卵を産むガチョウを自ら殺してしまう、といったことにすらなってしまいます。


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