スティーブンのブログ

責任を持たせること vs. 同意を得ること

マネージャーによっては、新しいやり方を取り入れることに不安を感じる人もいるようです。成功するための変革を経験したことのないマネージャーには特にその傾向があります。

変革を実行する前に了解を得ようとするCEOが多すぎる。 Click To Tweet

しかしながら、私の知っている中でも本当にできる CEO の方々は、変革の実行を第一に考え、周りからの理解はいずれ得られるという見方をしています。

例を挙げましょう。あるヨーロッパベースの会社の日本のCEOは営業戦略とやり方を革新しなければ、自社の掲げる成長目標を達成することができないとわかっていました。その革新とは、営業部のスタッフがそれまでやってきたネットワークからの受注だけに頼ることをやめ、新しい業界の新規顧客からのビジネスを獲得し、新しいやり方でレベルの高い顧客への販売を行う方法を学ぶということを意味していました。このCEOは、この革新を実行する前に、まず営業マネージャーからの同意を得る事に固執したのですが、そのような同意が最初から、或いは少なくともシニアマネージャーが全員引退するまでは得られる訳はありませんし、もしシニアマネージャーが引退したとしても、その後継者から同意を得られるかどうかもわかりません。

賛成を得る場合と異なり、責任を所有するというアプローチの場合は、自分の理由づけに同意してくれるかどうかではなく義務に基づいたものなので、反対意見に耳を傾けることもできます。リーダーはまず責任を所有するということを明確にしてから、周りの人々にいろいろ任せるのです。責任の所有は、権限を持たせるということに基づいています。ここで私が言う権限とは、自分の仕事の成果により、ビジネスの結果に影響を与えるということです。権限を持たせるには、決定権や、望んでいるビジネス結果を達成するために必要なリソースを与えなければなりません。

ある営業担当の副社長は、CEOから、営業のやり方を変えることで、営業成績を維持しながらそれまでかなり高かった返品の割合を減らすようにとの指示を受けたのですが、このCEOは副社長を助けてほしいと私に依頼して下さいました。この副社長は、CEOからの命令に賛成していなかったばかりか、実は大反対していたのです。彼女は、小売業の顧客は売れなかった商品は返品できると考えているからこそ喜んで自社の商品を買ってくれているのだから、返品を減らすことなど無理だと感じていたのです。代わりに彼女は営業ゴールを下げることを求め、営業方法の変革に関しては話し合おうともしませんでした。

この副社長に改革に賛成することを懇願する代わりに、CEOは彼女が反対しているということは受け容れながらも、自分が決定した戦略を実行することは営業担当副社長としての彼女の責任であると固執しました。彼女の反対意見を認める一方で、変革実行の為の責任を彼女に与えるというこのやり方は成功しました。彼女は相変わらず反対し続けていましたが、それでも改革を行うために多大な努力をしてくれたのです。彼女の責任感とプロフェッショナルな態度は、変革への反対感を上回ったという訳です。

責任を伴わない同意

変革実行において前以て同意を得られればそれに越したことはありませんし、同意と責任の所有の両方が存在するのはもちろん望ましいシチュエーションです。しかし改革を進めるに当たって必要なものは責任の所有の方で、同意ではありません。実際、責任所有なしに同意だけ得ても、変革に向かっての進展は全然起こりません。

ある私のクライアントの企業は研究開発を行っているのですが、新製品の開発、イノベーションのための戦略を文書化してありました。そして誰もがその戦略を理解し、またそれに同意していました。会社全体で同意をしていたのです。しかし毎年も新しい画期的な商品が生み出されることはなく、わずかに残っていた開発プロジェクトもその殆どに進展は見られませんでした。

営業と製造チームは緊急な助けが必要になったり、顧客から例外的なリクエストを受けると、いつも研究開発部に頼っています。工場で品質管理に関する緊急事態が発生すると、あたかも特別部隊かのように召集されるのも研究開発部です。こうして研究開発部はしばしば多方面から引っ張られており、その理由は常に緊急な内容です。つまり研究開発部はそのミッションに対する責任を所有できていないのです。チームがみんなそのミッションに同意しているにも関わらず、受動的なままでいるのです。同意だけでは十分でない、ということがお分りいただけますでしょうか。

同意を得ること vs. 責任を所有すること

変革やイニシアチブ、戦略を導入する際に、責任の所有度も同意度も高い人々は、それに対する努力も惜しみません。しかし、責任の所有度は高いけれども同意はあまりしてもらえていない、という人々も、責任をしっかり与えられれば、忠実に行動を起こしてくれます。先程の変革には反対だったけれどもそれでも協力してくれた副社長がその良い例でしょう。多くのリーダーは同意を得られなければ、大規模な抵抗を起こされるのではないかと恐れていますが、殆どの場合、プロであれば自分が賛成できないことでも、仕事としてこなす必要があると理解しています。同意しなかった人々は他のスタッフほど熱心ではなくとも、そのほとんどは参加し、変革を進めるために行動してくれます。

しかし、同意は多く得られたけれども責任の所有はしっかり行われていない、という場合は、受動的な結果を生み出してしまいます。人々はあなたが目指すビジネスの方向に賛成し、それを受け容れてくれるかもしれません。しかしながら、もし彼らが責任を対して与えられていないとか、必要なだけの権利を与えられていないと感じれば、その改革を仕事の中で実行するための気持ちが十分持てなくなります。上記の研究開発部のように。同意度の低さと責任所有度の低さは、単にやる気のなさを生み出します。責任所有度が低ければ、いくら結果を出すようにプレッシャーをかけたとしても、結果を出すための権利を与えることなしには、同意の有る無しに関わらず、変革を行う意味は大してないのです。

リーダーは、権利を与えることで同意を生み出す

上記の副社長の場合は、変革に対する抵抗は長く続きませんでした。変革がうまく作動するにつれ、彼女の懐疑心もほぐれ、間も無く改革の推進と新しいやり方に熱心に取り組むようになりました。成功ほど説得力のあるものはありません。ほんの2ヶ月以内に彼女の同意度はそれまでの抵抗度よりずっと強いものになったのです。もしCEOが彼女の同意を得られるまで改革に手をつけなかったとしたら、何年も待つ羽目になっていたでしょう。

責任所有は同意よりずっと重要である

私は同意など必要ないと言っているわけではありません。人々が思っているほど必要というわけではない、と言いたいのです。どんな場合でもできるだけ多くの同意を得、しかしいくら同意してくれる人が十分でないからという理由でプランを先延ばしにしてはいけません。先に進むための鍵は、責任の所有をしっかりさせることであり、同意を得ることではありません。あなたはどちらを大切にしていますか。


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