スティーブンのブログ

神戸製鋼と日本文化

ソフィー・カマルディン

さて、最近では神戸製鋼のスキャンダルが話題となっていますが、企業ガバナンスに大きな問題があるのではないか、という懸念も囁かれています。この問題について、東京を拠点とするコンサルティング企業、レランサのCEO、スティーブン・ブライスタン氏にお話を伺いたいと思います。

さて、スティーブさんは、急速なビジネス成長、組織変化の専門家でいらっしゃるので、お話しされたいことはたくさんあると思います。スティーブさんは日本企業の文化などというものは存在しない、と解説されていますが、これはどういう意味ですか?

スティーブン・ブライスタイン

言葉通りの意味です。私が上梓した「Rapid Organizational Change」という書籍で深く掘り下げた問題でもあります。私が言いたかったのは、日本企業の文化は一枚岩ではない、ということです。サイバーダインのような会社、あるいは、楽天のような会社には、三菱商事のような会社とは全く異なる企業文化があります。そして、どちらも日本企業なのです。

このことはアメリカ合衆国を始めとして、他の国にも当てはまります。グーグルのような企業にはシアーズ・ローバックのような企業とは全く異なる企業文化がありますが、どちらも大変アメリカ的な企業です。

ソフィー・カマルディン

そうすると、日本には持つべき企業文化がない、という印象も受けますが、リーダーシップの責任はどのように位置づけられるのでしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

詳しく検証する必要があるのは、各企業の内部で何が起こっているかということです。企業文化は各国の文化を凌駕するものです。ですから、リーダーは自分の会社で自分の好きな文化を育てることができます。私たちが注目し検証しなければならないのは、まさにこのような意味での企業文化です。

ソフィー・カマルディン

つまり、各企業には特有の企業文化があるので、日本全体としての企業文化を見つけるのは難しい、ということでしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

どの国にも、その国特有のパターンを見つけることはできますが、ある企業の経営を揺るがしている問題が…その問題の根がその国の文化にあると断言することはできません。もっと深いレベルで検証する必要があります。原因はいつでもその国の文化とは別のところにあります。そして、原因はいつでもリーダーがコントロールできる範囲内にあるのです。

ソフィー・カマルディン

ですが、日本企業に多くのスキャンダルが起きていることを考えると、日本の文化に問題があるとも考えられませんか?

リシャド・サラマト

この点については詳しく伺いたいのですが、スティーブさんは日本企業文化のようなものはないとおっしゃいましたが…では、なぜ、日本で多くの企業スキャンダルが発生するのでしょうか?タカタの問題、トヨタの問題、最近ではニッサンの問題、さらに、オリンパス、東芝と、日本企業のスキャンダルに関しては長いリストができています。日本の核となる中心部で何かが腐敗しているのでしょうか?それが問題なのでしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

問題の核心部分が日本の文化に関係していると断言することはできないと思います。日本の文化には、人々に不正や非合法な活動を促す要素はありません。そうではなく、現実に起きているスキャンダルには、リーダーシップの弱点に関して何らかのパターンがあるように思われます。先ほど申し上げましたように、こういう問題はいつでもリーダーシップの問題なのです。問題の核心部分は日本の文化ではありません。

また、アメリカ合衆国のような国でも、そして、ドイツのような国でさえ、ウェルズ・ファーゴやフォルクスワーゲンのような問題が起きています。そういう場合、問題の核心はアメリカ文化にあるとか、ドイツ文化にある、というような言い方は誰もしないでしょう。

リシャド・サラマト

ですが、気になるのはアメリカやドイツではこのような問題が少ないということです。日本企業に関しては、6社のスキャンダルがすぐに頭に浮かびました。それに、「臭いものには蓋」ということわざもあります。日本語の発音が上手くできなくてすみませんが、これは、醜聞を他に漏れないように隠す、という意味です。これは、私たちが今議論している会計問題の根幹に関わることです。鉄鋼や銅などのデータを偽り、人命を危険に晒すことは、はっきり言えば、法に触れるほどの職務怠慢です。

スティーブン・ブライスタイン

その通りです。そして、その同じゲストについてですが、彼はまた、人々がこのスキャンダルを否定的に捉えているか、肯定的に捉えているか、ということも話していました。つまり、私たちはこのように日本企業のスキャンダルを取り上げていますが、他の国の企業のスキャンダルについては取り上げません。メディアがこの問題を取り上げているのは、日本では衝撃的なスキャンダルだからです。他の国では、それほど衝撃的なスキャンダルにはなりません。

ソフィー・カマルディン

では、同様の問題はさらに脚光を浴びることになるのでしょうか?不正はもっと深いのでしょうか?このような問題では、…罰金を支払ったり、経営者が退陣したり、という結果を見てきました。けれども、日本企業が膿を出し切るには十分と言えるのでしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

そうですね、私が申し上げたいのは、スキャンダルの本当の原因を日本のような国の文化に求めることは大変危険だということなのです。文化というものは誰か一人の力で変えることはできません。結局、文化と共に生き、文化を許容するしかないのですが、文化の問題とは解決したり、最適化したりする類のものではないのです。問題をさらに深く掘り下げ、問題の根本を特定しなければなりませんが、問題の根本とは、文化ではなく、変えることができる何かなのです。

ソフィー・カマルディン

解説をありがとうございました、スティーブさん。お知らせの後も引き続き、レランサ社のスティーブ・ブライスタインさんにお話を伺います。

リシャド・サラマト

ブルームバーグ・マーケットを続けます。引き続き、スティーブン・ブライスタインさんと日本の企業文化について議論を続けたいと思います。ブライスタインさんは東京を拠点とするコンサルト企業、レランサのCEOを務めていらっしゃいます。 さて、スティーブンさん、企業文化の観点から何が問題となっているのかを議論してきましたが、私が先ほど挙げた企業はすべてスキャンダルを表面化させ、自分たちの間違いを認めました。このことは、企業文化を変化させたのでしょうか?企業の態度には変化が生まれましたか?それとも、これはアベノミクスの問題でしょうか? あるいは、マスコミの問題でしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

まあ、これらの問題については合理的に推測することができます。今、日本では、ビジネスでは何が適切であるか、どのようなビジネスパーソンが経営を行うべきか、という点について態度が変化しているのです。また、日本社会から何を求めるか、という点についても態度が変化しています。また、このような変化は地位の低いスタッフから上層部のリーダーまで全てのレベルで起きています。今日の経営リーダーには、以前の経営者よりも高い期待が寄せられていると思います。

ソフィー・カマルディン

さて、スティーブンさん、日本では規制はどのような役割を果たしていますか?2006年に公益通報者保護法が施行され、また、例えば、2015年にはコーポレートガバナンスコードが発効されました。さらに多くの規制が必要ですか?それとも、これで十分ですか?この種の規制に環境が慣れてくるのをサポートしているだけなのでしょうか?

スティーブン・ブライスタイン

すべての国でガバナンスのルールと規制を再検討する必要があると思いますが、それでも十分とは言えないでしょう。どんなに優れたガバナンスがあったとしても、不正行為は常に存在します。不正行為を本当になくしたいなら、リーダーシップの機能を改善させることに集中しなければなりません。日本では、経団連を通じて政府が規制の効果を上げることができます。

ソフィー・カマルディン

投資家や株主の行動主義を巻き込んだガバナンス改革の一部はすでに何らかの改善を実現していますが、他にも改善の余地はありますか?実際の改善を目にしていらっしゃいますか?

スティーブン・ブライスタインなにか

はし、少しは目にしています。もう少し改善のスピードを上げてほしいと思っていますが、私たちが見ているのは、企業行動がある種のグローバルスタンダードへ収束している過程なのではないかと思います。マーケットはより統合され、より国際的になっていますからね。

ソフィー・カマルディン

日本企業についていえば、この種の基準に関してグローバルガバナンスを満たしている企業をまだ見たことがないように思いますが、この問題に対処する個々のビジネスリーダーは、スティーブンさんから見ると、他に何をするべきだと思いますか?

スティーブン・ブライスタイン

そうですね、個々のビジネスリーダーに関しては、次の世代の経営者がこのような問題に煩わされないことを保証したいなら、リーダーたちは例を挙げて経営を行う必要があります。その特徴を上げるとすれば、便利でもないし、すぐに利益が上がるわけでもないことを実行することです。自分の会社の原則なのですから、何かに妥協する必要はないのです。

リシャド・サラマト

スティーブンさん…

スティーブン・ブライスタイン

リーダーが自分のビジネスでそのようなことを実行するほど… はい?

リシャド・サラマト

スティーブンさん、残り僅か30秒となってしまいました。日本で成功しているリーダーに共通している4つの実践原則は何でしょうか?手短にお願いします。

スティーブン・ブライスタイン

1つだけです。自分の会社に自分の文化を育てることです。

リシャド・サラマト

1つだけで十分ですね。ありがとうございました。スティーブンさん。良い一日をお過ごしください。東京を拠点にするコンサルタント企業、レランサのCEO、スティーブン・ブライスタインさんでした。


5 thoughts on “神戸製鋼と日本文化

  1. There is a bad Japanese culture in business which runs through the whole Japanese social system, it is the lack of respect of the individual employee. Karoshi, for example, is one of the symptoms. I wonder to what degree this issue affects the moral of the corporation as a whole.

    • I would imagine karoshi or death from overwork of an employee would be devastating to the morale of all in a company, and indicate a raft of problems in that company. However, Raphael, you cannot say that this “bad culture in business runs though the whole Japanese social system.” That simply isn’t true. All of my Japanese clients have tremendous respect for individuals. Some have forbidden calling meetings after 6:00 PM, and discourage habitual late night drinking both with customers and staff. One of my client companies allows any employee to take six-months paid leave to study English in the United States, all expenses covered. Several offer maternity leave. In these companies, there is far more respect for individuals than I have seen in many American, Australian, French and even some German companies.

  2. Pingback: The Art of the Stomach and Pitfalls in Communicating with the Japanese - Steven Bleistein - Relansa CorporationSteven Bleistein – Relansa Corporation

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