スティーブンのブログ

engagement survey

エンゲージメントサーベイの誤った使い方

従業員エンゲージメントという言葉をよく耳にするようになりましたが、リーダーが社員をエンゲージさせようとしてもそれは無理なことです。エンゲージメントとは、社員が自分から行わなければならないものだからです。リーダーにできるのは、それをやりやすくしてあげることだけです。しかしながら、エンゲージサーベイの結果を元にしてリーダーの能力について行き過ぎた判断がされたり、またその判断に基づいた決断がされたりするのを頻繁に耳にすることがあります。

エンゲージメントとは個人個人の性格から来るものです。あなたが望むビジネスの内容が社員の描くものと異なれば、あなたが何を言おうと行おうと、どうしてもエンゲージしない社員は出てきます。それは仕方ないことですが、そのような社員は他の会社に行くか異なったポジションについた方が良いかとも思われます。また、仕事上エンゲージしないだけではなく、単に人生そのものにまるでエンゲージしないような社員もいるでしょう。そのような状況をあなたが変えるのは無理なのです。

また、鬱状態の社員もいるかもしれません。一般的に成人の1割は何らかの鬱病にかかっていると言われており、その殆どはそのことに気付いてさえいないのだそうです。そして自分の精神状態の悪さは自分を取り巻く環境のせいにするそうです。もちろんこのような社員が提出するエンゲージメントサーベイも、スコアに影響を及ぼします。正しい診断と治療が施されなければ鬱病は治りません。いくらあなたが優れたリーダーであってもあなたがそれを変える事は無理な事です。

私の経験から言うと、本当にできるリーダーは、求めている、或いは必要としている結果を得るために思い切った戦略的改革が必要であれば、躊躇する事なくそれを実行します。戦略的変革の殆どのケースでは、社員が改革後の状況に慣れる間、不安、混乱、不確かさといったものが強く感じられるものです。ですのでそこでエンゲージメントサーベイを行うと、そのスコアが下がり、その後、また上昇するのは普通のことです。ところが会社によっては、CEOの報酬がエンゲージメントサーベイの結果に影響されるところもあります。これはあまりにひどい話です。

ある日本の素晴らしいCEOの方は大胆な戦略的改革を実行し、そのおかげで最終的には利益を何パーセントか上げることに成功しました。金額でいえばかなりの額です。それにも関わらず、改革実行中の間のいっとき、エンゲージメントサーベイのスコアが落ちたとの理由から、彼は減俸されてしまったのです。もし彼が改革を行わなかったなら、サーベイのスコアが落ちる事はなく、減俸される事はなかったでしょうが、一方で会社にとって利益が上がるチャンスは逃していたということになります。その翌年のサーベイ結果は改善しましたが、その時点で既に、このCEOはビジネスにとって最良と思われることを実行したせいで、罰を与えられてしまっていたわけです。

また日本では誰もが知っているあるトップ企業のCFOの方は、切実に必要とされている戦略的改革を任されていたのですが、エンゲージサーベイのスコアが急激に落ちた際、それを見たリーダーシップチームは改革の目標を下げてしまったと私に話してくれました。これは戦略上、間違った対応であり、彼にもそう伝えました。そして大胆な戦略的変革を行えば、一時的にエンゲージメントは下がるかもしれないけれども、凡庸でぱっとしない業績をそのままにして変革を行わなければ、今度は慢性的なエンゲージメントの欠落を招くであろうということも説明してから、一時的なエンゲージメントの低下と、慢性的なエンゲージメントの欠落のどちらを選ぶかという質問をぶつけてみました。すると彼も目から鱗が落ちたようで、会社が大きな間違いを犯したことにショックを受けていました。

つい先日、ヨーロッパ企業の日本営業部長と話す機会があった時には、その会社のCEOに自分のリーダーシップ能力を疑われているという悩みを聞かせてもらいました。その理由は、営業部のエンゲージメントサーベイのスコアが社内でも最低レベルであったからなのだそうです。しかし彼と話していても、彼にひどくリーダーシップ能力が欠如しているような様子は見受けられませんでした。彼はリーダーシップというものを理解しているようでしたし、その仕事内容もやり方も正しいものと感じられました。

彼の部に属する社員はそう多くないので、全員と話す機会があるそうです。間も無くその会話を通し、できる営業部員は自分が実行した重要な改革に乗り気で、エンゲージメント度も高いということに彼は気付きました。逆に大した業績も上げないような社員は皮肉な態度を取り、憤慨、恐れといった感情を持っていました。しかしここで彼がこういった凡庸な社員のエンゲージメントスコアを上げたいと思ったなら、変革の手を緩め、ぱっとしない業績に対する言い訳を良しとし、個人個人の能力を上げるように頑張って働きかけることを止め、昇進も業績ではなく年功序列制に基づいて行うといったことをせねばなりません。しかしこういったことこそが、できる社員のやる気を失くさせ、最終的には彼らを失ってしまうことにもつながってしまうのです。

社員のエンゲージメントは、あなたがどのようにリーダーシップを取るかだけではなく、社員がどのような人間かということにも同じくらい左右されます。残念なことにエンゲージメントサーベイはどのような社員からのフィードバックも平等に扱われます。しかし優秀な社員からのフィードバックにはより大きなウェイトを置くべきなのです。

社員のエンゲージメントは、あなたがどのようにリーダーシップを取るかだけではなく、社員がどのような人間かということにも同じくらい左右されます。 Click To Tweet

エンゲージメントサーベイは今では当たり前のものとなっていますので、あなたもその影響を受けている可能性は高いかと思います。しかし本当に優秀なリーダーの方々は、自分の会社のエンゲージメント度を知るためにエンゲージメントサーベイに頼ったりはしません。彼らは自分で会社を周り、直接社員の様子を観察するのです。顧客とも話します。またすべてのレベルの社員とも話します。エンゲージメントサーベイの結果を見る時には、それをそのままうのみにはしません。あなたも同様にするべきです。サーベイ結果や人事から言われることに従って、自分のリーダーシップのやり方を変える事は決してやってはなりません。リーダーシップはあなたの専門分野であり、他の人達のものではないのですから。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください