Guillermo Gutierrez

シャネル日本法人CEOギエルモ・グティエレス氏へのインタビュー

去る10月23日(金)に、在日フランス商工会議所の主催による、シャネル日本法人CEOギエルモ・グティエレス氏へのインタビューを行わせていただきました。ご出席いただけなかった方々のために、私が学んだことの重要部分をここで紹介いたします。

  1. しっかりしたやり方で行いさえすれば、日本の高級化粧品市場において大型小売店の売り上げを伸ばせる機会は倍増している。海外の小売店では、人が多く来るエリアに似たようなブランドを集めるという、よく考えられた方法を取り入れている。しかし日本のショッピングモールでは、どちらかというと小売店はある場所を借りているというだけという感じで、様々なブランドや商品が適当に集まっているのが現状だ。これはデパートでもある程度は見られることである。
  2. 高級化粧品市場で一番成長が見込めるのはオンラインでの販売であるが、実際の店舗で経験していただける接客コミュニケーション経験に値するようなレベルのサービスがオンラインでも提供できるようにならなければ、達成できないことである。AIでそれを為しうることはできない。生身のコンサルタントがバーチャルで顧客を直接サポートできるような画期的なやり方が必要だ。現存のオンラインプラットフォームにはこれを行うのに十分なものは存在しない。多くのブランドは、エキスパートを雇って独自にそういったシステムを開発しなければならないだろう。
  3. 楽天やアマゾンなどのプラットフォームで高級な商品を売ることができないのは、低価格を前面に出していることが理由だ。また場合によっては一定の商品カテゴリーをターゲットとし、綿密な略奪戦略を使って潰しにかかるといったケースもある。
  4. COVIDのせいで、化粧品ブランドはリモートに顧客にアプローチしたり販売したりすることを必要とされた。コロナ禍では、顧客が購入する商品にも変化が見られた。テレワークになったからと言って全く外見を気にしなくてよくなった、という訳ではなく、オンラインでも美しく見える必要性が出てきたのである。マスクを付けなければならなくなったことで、目周りの化粧の大切さが際立ってきた。
  5. ブランドを率いるリーダーの方々にお伝えしたいことは、新しい手法やチャンネル、アプローチを積極的及び頻繁にトライすることがチャンスを生む、ということである。うまく行っていることは続け、そうでないものは排除すること。日本で成功するブランドは、恐れることなくイノベーションを優先し、グローバル本社の上司からもそれに必要な権限を与えてもらっているようなリーダーが率いているものである。

上記のアドバイスに刺激を受けた方々には、是非この先私が関わるインタビューにも関心を持っていただければと思います。在日フランス商工会議所のイベントをチェックし、また商工会メンバーになることもご検討下さい。(https://www.ccifj.or.jp
在日米国商工会議所のイベントを常時チェックすることもお勧めいたします。(https://www.accj.or.jp)在日米国商工会議所のIndependent Business Committeeは私も副会長としてお世話させていただいているのですが、メンバーになると、私が主催するものも含め、Committeeが行う様々なイベントのお知らせを受け取っていただけます。


一番ビジネスを左右するのは、バリューよりも指針である

ある企業ではイノベーションをそのバリュー(共通価値観)として掲げ、社員にもいつもイノベーションと書いたものが目につくようにしてはありますが、実際には、R&Dのスタッフも含め、誰かがイノベーションを生み出す姿が見られる事は滅多にありません。
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leader and decision

優しい独裁者

改革を行う際には大抵、その背景を理解していても、そこに責任がしっかり伴っていなければ十分とは言えません。そのような状況では、リーダーであるあなたがスタッフがやるべき仕事までやらなければならない羽目に陥ってしまうでしょう。

ここで私が言う責任とは、変化をもたらすための正しい行為や素晴らしい結果は認められ、そうでなければペナルティーが課せられるということです。

責任に関する問題は社員の問題ではありません。それはリーダーシップが原因の問題です。私の知るあるCEOは、代理店を通しての販売から、顧客への直接販売にビジネスモデルを移行させることに取り組んでいます。これは良いアイディアですし、成功する確率もかなり高いと思われます。新しい方のビジネスモデルは、単に仲介業者を取り除くというだけのものではありません。その結果、販売する商品に伴う高価値のサービスや、柔軟、迅速なカスタマイゼーション、他に例を見ない特有で競争力の高いテクノロジーなどの提供もできるようになるのです。

このCEOは、リーダーシップチームに新しい戦略の利点を理解してもらおうと説明や説得を続けましたが、チームは懐疑的なままでした。彼らは耳を傾けてから、批判をし、この戦略が大惨事をもたらすかのような意見を述べました。基本的な部分は渋々賛同したのですが、いざ実行の段階になると、現在のやり方を変えることができない様々な言い訳を引き出してきて、なかなか前に進もうとしなかったのです。

CEOは再び説得にかかりましたが、また形だけの賛同、不実行、言い訳のサイクルが繰り返されただけで、結局のところ進展はありませんでした。なのに、誰もその責任を負うということもなかったのです。

スタッフが自分がCEOだとしたら下すと思われる決断は、あなたが今下す決断と同じであるとは限りませんし、それはそれで良いのです。あなたのスタッフの見解を考慮に入れるのは構いませんが、ビジネスの方向性を決めるのはあくまでもあなたです。例えあなたに賛成してくれなくとも、彼らがあなたの決定したことをサポートしてくれることを期待しても良いのです。彼らがいずれCEOになったら、その時には彼らが決断すれば良いのです。

責任を与えたからといって、それがサポートの代わりになるわけではありません。変革を行う時にはその理由を理解してもらえるようにあなたが手助けをするべきです。必要であれば、トレーニングやその他のサポートも与えることができます。金銭や時間、より多くの人員の雇用といった、追加リソースを供給することもできます。権威や責任に関して曖昧な部分をはっきりさせることもできます。矛盾する社内のプロセスを是正することもできます。

しかしどれだけ素晴らしいサポートを行っても、それが社員の態度を変えるのに十分であることは滅多にありません。彼らに責任を与えられるのはあなただけなのです。責任が伴わない変革は、白紙に戻ったも同然です。

責任が伴わない変革は、白紙に戻ったも同然である。 Click To Tweet

誰もあなたのことを撃とうとしているわけではない

何年も前のことになりますが、当時自分の力でソフトウェア関連のビジネスを起こそうとしている起業家と話す機会がありました。彼はベトナム戦争時にCIA捜査官として働いていたそうで、ラオスでは多国籍特別部隊と時間を共にしたと言います。

彼は当時のことを思い出しながら、「私の人生において、ジャングルの中で銃を発射されつつ追いかけられた時ほどストレスを感じたことはありませんでした。」と語り始めました。「ですからビジネスにおけるリスクやストレスには強いんです。」

私は戦場の経験はありませんが、戦火のもとでのプレッシャーを経験すれば、ものの見方も変わるものだろうと想像することはできます。

ビジネス界に生きる私たちのその殆どは、そのような生死に関わる状況に直面したことはありません。しかし、リーダーの地位にあるようなマネージャーが、誰かに銃を向けられつつ追われているような気持ちで毎日仕事に望んでいるような様子を目にすることはよくあります。

日本語には真剣という言葉がありますが、それは剣道で使う竹や木でできた剣ではなく、「本物の剣」を意味する漢字でできています。木刀であれば間違いも許されますが、本物の剣を使ってミスをすれば、その影響はずっと残る、というわけです。

富士フイルムの古森重隆CEOは、トップマネジャーが「本物の剣」を使って戦っている一方、中間マネジャーと役員は、間違いから学ぶ機会を得られるような、木刀で戦っていることに気が付きました。本物の剣と同じく、トップマネージャーが下した決断が結局うまく行かなければ、後々まで響くような影響をもたらす可能性、更にはビジネス全体に悪影響を与えたり崩壊させてしまったりする可能性があるというのです。彼の見解によると、もしCEOがそのような戦いに負けるということはキャリアの終わりをも意味するのに対し、中間マネージャーが負けたとしたら、その責任を負うのは彼らの上司なのだそうです。CEOにとって、間違いとは許されないものであり、そのせいでとにかく勝つために必死になってしまうのだ、と彼は見ています。

古森氏がこのような見方に行き着いたのにはちゃんとした理由があります。デジタル写真が台頭し始め、富士フィルムが大きなシェアを誇っていたフィルム市場が縮小していく中、彼は2000年に会社のトップを引き継ぎ、困難な時期に会社を引っ張ってきたのです。それまで年間の事業収入の殆どはフィルムビジネスからのものでした。古森氏はそこで画像作成などとは全然関係のない業界にも使えるような専有技術に投資をすることで、会社を救ったのです。これらの試みの多くは失敗に終わりましたが、会社を窮状から救い生き抜くために十分な数の試みは成功しました。現在では富士フィルムでもっとも稼いでいるビジネスは、デジタルカメラビジネスとは何の関連もないものです。

富士フィルムの競合相手であったコダック社の場合、単にそのリーダー達がデジタル写真が台頭していくという可能性を受け入れることを拒み続けたから失敗した、というわけではありません。彼らも同時期にビジネスの多様化を狙った同様の戦略を試みはしたのですが、結局うまくいかず、2012年には破産申告をする羽目になりました。このレベルの戦いになると、本物の剣が使われる、というわけです。

中間管理職についている人が、適度と思われるビジネスリスクを負い、それが結局うまくいなかった、という理由で解雇されたケースなど殆ど聞いた事はない。 Click To Tweet

しかし私は、中間管理職の人々が新たなプロジェクトの可能性について語る時、まるでそれが本物の剣を使った戦いとなるように描写するのをしばしば目にしたことがあります。

例を挙げましょう。先日、ある戦略ディレクターと話した時のことです。彼は現在の戦略開発・管理プロセスに問題があり、そのせいで効果的ではないということに長い間気付いていましたし、それをうまく解決する方法も分かっていました。それにも関わらず、やり方の改善についてCEOや管理部門の人々にそのことを説明することを避けていました。説明することが戦略ディレクターとしての彼の責任の一部であるのも明白であるのに。彼が恐れていたのは、説明をすることで好ましくない影響が出てくるかもしれない、ということでした。確かにCEOや他のマネージャーから否定的な反応があるというリスクは存在します。しかし彼は、説明を試みてそれが失敗した場合の取り返しのつかないような影響が出る可能性について、歪んだ見方を持っていました。つまり実際には木刀を使っているにも関わらず、真剣で戦いに望んでいるつもりになっていたのです。この程度のリスクに萎縮してしまうようなマネージャーが、真の勇気と大胆なアクションが必要な面に出くわした時、それを乗り切れるとは思えません。

このような考え方をしているのは彼だけに限ったことではありません。私もこれまでに、どのような失敗でも修復はきかないと感じている中間管理職の人達をしばしば見てきました。その多くにとって、そのような考え方は行動を起こさないことの言い訳を与えてくれます。そして躊躇することが習慣になることで、学習することも妨害されてしまいます。暗黙のうちに、あるいは規則の一部として年功序列制がまかり通っていたり、失敗をしたことがないということが美化されるような企業では、中間管理職は、毎年毎年引き延ばす案件が溜まりに溜まり、それによって苦しんでいる人々で溢れています。

失敗は許されないと考えること自体は、間違ってはいません。しかし、失敗に対する反応に誤りがある事はあります。古森氏は失敗すれば後が無い、という思いを持って、会社を成功に導きました。彼ほどではない人々は、単に失敗したくないという思いで働いています。この二つは同じではないのです。

あなたの会社のマネージャー達は、自分はどちらの剣で戦っていると思っているでしょうか。

自分の剣は賢く使いましょう。そしてどちらにせよ、誰もあなたを撃とうとはしていない事は頭に入れておいてください。


Empathy Trumps Projection

投影ではなく共感をすること

投影と共感は別物ですが、混同されることが良くあります。共感とは、人がどのように考えているかを理解する能力ですが、投影とは他人も自分と同じような見方をしていると仮定してしまうことです。共感しようとしている時に間違って投影の方をすることは避けるよう、気をつけなければなりません。 Continue reading


離職率を上げること

現在、多くの企業は必要とする優れた人材を見つけるのに苦労しており、それ故に有能であろうがなかろうが、現社員をキープしなければならない、という状況に陥っています。つまり社員が減るような状況を避けたり、少なくともその数を最低に抑えようと努力しているわけですが、本当に企業のために最良と言えるのは、人員を削減することなのです。大切なのは、能力のある社員を維持することだけです。

先日、日本にある有名なグローバル企業内の大規模なビジネスユニットの責任者である方から聞いたのですが、彼は自社の人員の減り方が業界平均より高いにも関わらず、特にそのことを気にしてないとおっしゃっていました。

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人材とは募集するものではなく、引き抜くものである

人材の募集など止めて、代わりによそから引き抜きましょう。逼迫した労働市場においては、躊躇っている余裕などありません。攻撃に回るなら、今こそがその時です。

人材斡旋企業は人材を探すことが仕事、と言っていますが、だからどうだというのでしょうか。人材を探すことなど難しくはありませんし、その殆どは、LinkedInを使って誰かを見つけるのと対して代わりない程度のことです。 Continue reading


goal

危機であろうがなかろうが、変わらないもの

戦略に惑わされてはいけません。ビジネスにおいて効果的なリーダーシップの原理は、コロナ禍においてもそれ以前においても同じものです。変化が必要となるのは、戦略の方です。

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