取り組みを促す3つの自由

社員が気持ちの上でどれだけ会社にコミットしているかを判断したり、またその気持ちをさらに高めたりしようとした時、私はお決まりの社員アンケートの結果から自動的にはじき出されるアドバイスに頼ったりしません。あなたもそんなことをする必要はないと思います。それより社員が仕事に取り組むに当たってどれだけの自由を与えられているか、ということに関するこれらの3点を見れば、必要なことは見えて来る筈です。

  1. 時間の使い方について自分で決められる自由
  2. 良いビジネス結果を出すために、単独にリソースを使うことができる自由
  3. イノベーションをする自由

これら3つの自由とは、実際にはどのようなものでしょうか。以下、社員の仕事に対する取り組み度やコミットメントが高い企業において、私が実際に目にした行動ややり方の例を挙げてみました。これらは数少ない例にすぎませんが、あなたご自身のビジネスにはいくつ当てはまるか考えながら読んで下さい。

時間の使い方について自分で決められる自由

  1. 殆どの社員、特に営業スタッフは、オフィスに決まったデスクを持たない。代わりにあるのは、誰でも使えるデスクや、会議室、共用スペースである。
  2. 会議以外は、社員の多くはオフィスにいることを強要されない。
  3. 会議が行われるのは何か決定事項がある時だけで、情報交換のためのミーティングは行われない。
  4. マネージャーは自分のスタッフのクリアな目標を設定し、その目標を達成するという責任を与える。目標達成のためにどのくらい時間がかかるか、とか、いつそれに取り組むか、といったことにはこだわらない。
  5. 昇進は年功序列ではなく、実績に基づいており、それは社のポリシーにも反映され、実行されている。
  6. 社員が全員どこからでも、いつでも働けるようなITのインフラを完備している。
  7. 社員はまず家族、自由時間、余暇を大事にし、それに合わせて仕事をしている。勤労時間に合わせて家族や自由時間、余暇を調整するやり方とは逆である。
  8. 特に業績を上げている社員は1週間の勤労時間が40時間以下である。
  9. 会社組織に関する決定を下す際に、地理的なことは特に問題にならない。例えば、東京にいるマネージャーが大阪の営業チームを管理するために大阪に転勤したりする必要が出て来ることはない。
  10. 殆どの父親が育児休暇をとる。

良いビジネス結果を出すために、単独にリソースを使うことができる自由

  1. 顧客と接するスタッフが問題をその場で解決するために、一定の予算を自分の裁量で使うことができるようになっており、また、その使い方のガイドラインがはっきりしている。
  2. 営業スタッフが国内出張をする際、殆どの場合はその許可を得たり、予算から出費してもらうためのプロセスを踏んだりする必要がない。
  3. 営業スタッフが顧客のために使う時間を増やすために、代わりにオフィスで書類の用意などをするオフィススタッフを雇用することが役立つと思われる場合は、営業マネージャーが独断でそれを実行することができる。
  4. どのマネージャーでも、十分な投資利益率が見込まれる場合は、社員ではなく外部に頼んで仕事をやってもらう決断をすることが許されている。その際、社内の官僚的なルールに則って許可を得たり、会社が勧める業者を選んだりする必要はない。
  5. マネージャーが社員の育成に投資する際、人事部のアドバイスを求めることこそあるかもしれないが、許可を得るような必要はない。
  6. 何かを行動に移す時、あるいは行動を取らないとき、その理由を会社のポリシーのせいにするような社員はいない。
  7. 社員が自分の仕事について話す時には、任されている仕事の内容ではなく、自分がビジネスのために何を達成しているのかを語る。
  8. どのレベルの社員であっても、丸暗記した会社のスローガンやビジョンを思い出したりせずとも、現在の大事な戦略内容を言うことができる。
  9. マネージャーでも、その他の社員でも、何かを決定する場合は、コストではなく投資利益率の観点から見る。
  10. マネージャーは、自分のチームの社員を外す権限を与えられている。

イノベーションをする自由

  1. 新製品やプロセス、技術を提案したり導入するに当たっての、マネージャーや社員のための明確かつ分かりやすいプロセスが存在する。
  2. どんなアイディアでも採用されなかった場合には、その理由が説明される。
  3. ビジネス目標が達成される限り、社員は業績を上げるための自分の仕事のやり方に関する柔軟性を与えられている。
  4. 良いアイディアを出した社員は、たとえそのアイディアがうまくいかなかったとしても、評価されるようになっている。
  5. イノベーションとは計画的に行われるもので、単に偶然生まれることを期待するべきではない。
  6. 成功しようが失敗しようが、アイディアを出す社員は評価される。
  7. 困難な変革に直面した際、マネージャーとスタッフは、現在の予算やキャパシティで無理だと思われる場合でも、変革を推進するために必要なものは何かを話し合う。様々な理由を挙げて、改革自体を諦めるようなことはしない。
  8. ジュニアレベルの社員でも、ビジネスを改善するためのアイディアについて自由に話せる環境がある。
  9. マネージャーは自分の部下がアイディアを出すことを奨励し、また、自分でも上司にアイディアを提示する。
  10. 失敗とは何が何でも避けるべきものではなく、勉強する機会だと捉えられている。
あなたのビジネスでは「取り組みを促す3つの自由」を社員に与えているだろうか。 Click To Tweet

上記のそれぞれの自由のうち、7つ以上が当てはまる場合、社員の気持ちの上での取り組み度やコミットメントはかなり高いと言えるでしょう。逆に5つ以下の場合は、見直しが必要と思われます。

3つの自由はそれぞれ別のものだと気付かれましたか。もしあなたのビジネスについて考えた時、3つのカテゴリーそれぞれの達成度合いが違う場合は、そのうち一番低いカテゴリーのレベルが実際の取り組み度のレベルと言ってよいでしょう。例えば、イノベーションに関してはかなりの自由が与えられているのに時間の使い方に関しては殆ど自由が与えられていないなどという場合は、パッとした結果は出ないでしょうし、取り組み度も結局大したものにはなりません。

すでにあなたがビジネスの指導者として直属の部下に3つの自由の全てを促しているのであれば、それは素晴らしいことです。でも、それは彼らの部下まで行き渡っているでしょうか。さらにその部下のレベルはどうでしょう。多くの企業では、トップレベルでは取り組み度の高さがよく見られますが、それが中間管理層あたりになると曖昧になってきます。私はこれを「屈折層」と呼んでいます。

また、自由を与えられているにも関わらず、それを駆使しない社員のことも忘れてはいけません。時間管理を自分でしたがらず、顧客のために問題を解決するためにリソースを使えることにも無関心で、ビジネスを改善するために自分からイノベーションに取り組もうともしないような社員を雇用しておきたいですか。そのような社員は他の企業に行ってもらえば良いのです。この3つの自由が欠けている企業など余るほど存在しているのですから、彼らも他の仕事を見つけることができるでしょう。

あなたがリーダーとして社員の精神的なやる気やコミットメントを推奨したいのであれば、まず上記の3つの自由に取り組んでください。これらの自由こそが、あなたの企業で働くことと他の企業で働くことを、大きく隔たせる要因となるのです。

3つの自由をサポート、促進すれば、素晴らしい人材があなたの会社に引き寄せられ、長い期間働いてくれることになるでしょう。


公平であることなど忘れ、えこひいきすること

フェアであることは、同様な扱い方をする、ということではありません。それは人々の才能を活用する機会を公平に与えるということです。才能のある人を特別扱いすることには、何の間違いもないのです。

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ビザ・ジャパンのカントリーマネージャー、安渕聖司氏から学んだこと

去る4月3日、東京アメリカンクラブにおいて、在日アメリカ商工会議所および在日フランス商工会議所の主催による、ビザ日本のカントリーマネージャー安渕聖司氏へのインタビューを行わせていただきました。満員の会場で、熱気に満ちたイベントとなりました。

安渕氏との会話から学んだことのいくつかを以下にシェアさせていただきたいと思います。

  1. ダイバーシティーこそが素晴らしいアイディアを生み出すための鍵である。様々な国出身の人々、様々なバックグラウンドを持つ人々、男性、女性、若者、老人・・・全ての人々が率直に意見を述べることで、世界に大きな変化がもたらされるのである。
  2. 何でも声に出して言わなければ意味はない。いくら賢明な人々でも、そのアイディアをシェアしなければ役には立たない。
  3. 会議の目的は、議論によって問題を解決し、物事を決めることにある。生産性を上げたいのであれば、目的がなかったり情報交換のためだけの会議はなくすべきである。
  4. 素晴らしいリーダーシップの鍵となるのは、柔軟な態度と、世界に対する好奇心である。
  5. 優れたリーダーシップにはビジョンは大変重要なものであるが、そのビジョンをみんなに理解してもらう必要はない。理解してもらうには時間がかかることもある。しかしあなたのビジョンが説得力のあるものであれば、最初は反対していた人々もいずれ理解してくれる。
  6. 本当に大切な社員とは、リーダーに反対し、それを声に出していうことを厭わないような社員である。素晴らしいアイディアとは、健全な議論から生まれるものなのだから。
  7. 危機に直面している時には、問題の解決だけに焦点を当ててはいけない。社員達に、危機が終わった後に会社が何をしなければならないかを考えさせることを忘れてはならない。ビジネスは危機を乗り越えるであろう。そして社員達は、現在のストレスに耐えながらも、将来のことを常に視野に入れておくべきである。
  8. 協力とは、単に他人と一緒にうまく仕事をする、というだけのことではない。それは、自分の責任分野や、権限外で起こったり、自分では解決できないようなことであっても、問題の存在に気づいたら、それを指摘し、積極的に問題解決のためのチームをまとめるといったことでもある。
  9. 様々なジャンルの本を読み、ビジネスや自分の専門外の事についても学ぶ事。芸術、科学、歴史、文学、テクノロジー、その他何でも人類の知識を作り上げているものは、あなたをより興味深い人間にするだけではなく、ビジネスマンとしても成長させてくれる。
  10. 日本人であるないに関わらず、誰でも外国語を学び、海外にも住んでみるべきである。自分の知識に全然当てはまらないような人々の中で暮らすことほど、物の見方を変えたり新しいアイディアを生み出したりするのに役に立つことはない。
これらの重要なコンセプトを実践してみれば、個人的にも仕事の上でも、自分の意識や能力が伸びていくのがわかるであろう。 Click To Tweet


企業の成長とは市場の状況ではなく、気持ちの持ち方によりもたらされるものである

日本企業による海外企業買収の際の投資利益率は、大抵の場合は小さく、時には悲惨な数字になることもあります。

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