文化に敏感になることではなく、文化センスメイキングが大切

国際ビジネスで成功する為に一番の妨げとなるものは、文化に対して敏感になってしまうことです。

こういうことを言うと驚かれるかもしれませんね。反対意見をお持ちの方も多いかと思いますが、ちょっと落ち着いて私がこれから言うことも聞いて見て下さい。必要なのは敏感になることではなく、文化センスメイキングであり、この二つは別物です。誤解しないで頂きたいのですが、私は外国人嫌いというわけではありません。外国語や外国文化のエキスパートになるというのは素晴らしいことです。しかし、周りの文化に順応する為に自分の知識を使うことと、文化を変革することには、違いがあります。

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日本の育児休暇の実態

日本の育児休暇は最長で1年間取れ、世界でも最も寛容なものですが、それでも新たに父親となった社員が育児休暇の申請をすると、マネージャーがすんなり受け入れてくれないこともあります。政府が導入した法律は、より良い勤労スタイルを達成するために全然役に立っていないのが現状です。それは、法律が労働過多の原因ではないからです。残業の多さにせよ、育児休暇の取りにくさにせよ、その根本にある原因は政府や企業のルールに基づくものでは決してありません。

原因はどの場合でも、リーダーシップ能力の欠如にあります。

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小売店をクビにすることでビジネスを伸ばす

多くのCEOの方々は、仲介者を使う大した利点がなくなっていても、小売店を省いてしまうことに躊躇します。しかし、周りに反対する人がいる場合でも、小売店や代理店を通さずにビジネスをすることを避ける理由など、全くありません。

私の周りのCEOの中には、もし代理店を通さなければ、顧客を失ったり、日本でつまはじきにされたりするといった、悲惨な状況を招いてしまうと周りの日本人スタッフから言われた人たちがいます。理論上、そういった心配は確かにあるかもしれませんが、そのようなことが実際に起こったなどということは一度も耳にしたことはありません。むしろその逆の方が多いと思います。例えばバリラジャパンのCEOであるアントニー・ストリアネーゼ氏は、昔からの小売店を首にした結果、会社の業績を大きく伸ばすことに成功しました。

私のクライアントの多くは、消費者にうまく直接販売をするようになっただけではなく、小売店との関係さえきっぱり終わらせてしまいました。日本では業種に関わらず、小売店の取引における付加価値はどんどん減っており、価値が最初から全然存在しなかったことさえあるようです。これは売り手も買い手の方もわかっていることでもあります。

あなたも、取引をしている小売店との関係の賞味期限がとうに切れてしまっていると思っているのであれば、消費者への直接販売を考えるべきでしょう。以下がその理由です。

  1. あなたやあなたの社員ほど、自社の製品を上手に販売できる人はいない。大抵の場合、小売店の営業スタッフの商品の技術的知識はあなたの知識ほどではなく、積極的な営業よりは、注文をとる、という態度になりがちです。
  2. 一番のコストは小売店のマージンではなく、低すぎる値段設定。 小売店には、あなたの商品が消費者にとってどれだけ価値があるかということをうまく判断することがなかなかできず、価値を伝えることで妥当な値をつける代わりに、値段を下げることで販売を促進しようとする傾向があります。
  3. 頻繁に直接購買者から話を聞くことが、市場情報を得る最良の方法である。他社が作ったレポートや、小売店のスタッフが顧客から聞いたことのまた聞きなどは、あてになりません。彼らがあなたに情報を伝える時は、彼らなりの目論見があった上でそうするわけですから。顧客と直接話すことにより、詳細、かつ金銭を払うことだけでは入手できないような迅速な市場情報を得ることがしばしば可能となり、結果、ビジネスのためにより良い戦略的決定を下すことに役立つのです。
  4. 周りの悲観論者がどのようなことを言おうとも、魅力的な価値は他の何にも勝る。もしあなたの会社がユニークな技術を使い、代替品が殆ど、或いは全くないようなユニークな製品を提供しているのなら、あなたが現在使っている小売店を首にしようがしまいが、消費者はそのようなことは気にしません。彼らは自分たちのビジネスのためになる価値を最重視するのです。
  5. 最終消費者は違いを区別し、仲介人は日用品化する。最終消費者は自分たちのビジネスの為になるユニークな価値に惹きつけられます。一方、仲介人の方々は、あなたの商品に価値を見出しても見出さなくでも、全ての商品を日用品として扱います。
  6. バイヤーは自分のビジネスが大切だが、仲介人は自分の利益を大切にする。バイヤーはあなたの商品が自分のメインのビジネスにどう役立ち、利益にどのような影響を与えるかを気にします。一方、仲介人が気にかけるのは、売上量と自分たちの取り分です。
  7. 伝統だからという理由だけで物事を続けるのは、どのような場合でも十分な理由にはならない。あなたの業界で伝統的な小売システムが存在するからといって、だから何だと言うのでしょう。何よりも大切なものは価値であり、そのために伝統を崩したければ、うまくやることは可能です。ファーストリテイリング、バリラジャパン、アマゾン、楽天といった企業は、それを成し遂げた良い例です。
  8. 直接販売を行うことで、ビジネスの正確さが必要となる。一方仲介業者を使えば、適当なやり方が助長される。自分の営業スタッフの能力を向上させたい場合、どのようになさりたいですか。消費者に直接販売を行う場合、営業スタッフは、顧客をより良く理解し、どのようにすれば価値を提供できるのかを見つけるために、いろいろ質問をすることを余儀なくされます。そうして彼らはビジネスをちゃんと行うことを覚えていくのです。しかし小売店を使う場合は、営業スタッフは値段、配達時間、在庫などのリクエストを受け、できるだけのことをして対応します。つまり多くの営業スタッフは、リクエストに答えることには熟練しているのですが、本当にそれがあなたのビジネスにとって最良と言えるでしょうか。
  9. あなたにとって自社の商品は一番大切だが、仲介業者にとっては、多くの商品のひとつに過ぎない。殆どの仲介業者は多くのビジネスの商品を取り扱っています。しかし、もし今はあなたの会社の商品のみを扱う仲介業者の場合でも、他のビジネスとの取引を始める可能性はあるのです。つまり彼らにとってのあなたのビジネスの優先順位は、あなたほどのものではないのです。
  10. 競合企業がひしめき合う中では、消費者との関係がしっかりしている企業が生き残る。仲介者を通して顧客への価値を判断することは不可能です。また、マーケティングを自分の代わりに他人にすっかりまかせきってしまうことも避けるべきです。そのようなことをすれば、顧客の目に自社をどう見せるかをコントロールすることができなくなりますし、顧客に対するマーケティングがまるで行われていない状況さえ招きかねません。顧客が寄せる質問の中でも一番大切なものは、大抵仲介者には上手に答えられないようなものです。顧客と直接の関係を持っているビジネスは、その商品の値段が他社に負けないものであろうがなかろうが、常に優位にあるのです。
あなたが直接販売に踏み切らなくとも、競合会社はそうするでしょう。ためらっていても良いことはひとつもありません。 Click To Tweet


日本問題研究家にはなるべからず

日本の特異さを考えすぎることは実際良くあることで、あなたの将来、キャリアにも影響を及ぼしてしまう可能性もあります。本社の役員たちに日本のユニークさを説明することはお勧めしません。それはディナーパーティーや学生たちとの会話、友人との戦争の思い出話などにはうってつけかもしれませんが、本社役員たちが個人的に日本問題研究に興味がある場合を除き、専門家が扱うべきことです。一般の役員であれば、そのような会話にイラつきを感じ、退屈なものと感じると思います。

あなたが一所懸命に本社役員たちに日本を説明すればするほど、彼らは耳を傾ける気をなくしていくでしょう。いくら重要だったり、正当なことを言っても、日本でビジネスをする価値があるのか、疑問に感じ始めるかもしれません。例えばこれが中国であれば、全てがもっとシンプルであり、問題も理解しやすく、それを解決する努力も早く報われることが多いですから。

では、日本についての知識が殆どなく、経験も全くないような本社役員たちに、日本のことを説得力を持って説明するには、どうすればよいのでしょうか。説明をしなければよいのです。

私の知っているヨーロッパに本社をおく会社の日本のCEOも、本社の役員達に日本について説明することの難しさを話してくれました。特に、ほかの国であれば問題のないようなことが、なぜ日本ではできないのか、と言った内容です。だいたい本社役員達は懐疑的になり、全然理解してくれません。日本特有の問題についての会話はうまくいかない、というのが普通なのです。

このCEOも、日本の営業スタッフがいかに保守的でリスクを恐るかを説明しようとしました。つまり営業スタッフは新しいビジネスを追い求めるより、オーダーが入ってくるのを待つ方を好むということです。彼らは新しいことを実践するのが遅く、ビジネス改善のためのアイディアを提案することは滅多になく、上司からの指示を待つのが普通なのです。

でも本当にそうでしょうか。そんなことを言えば、海外の役員達は呆れた顔をするでしょう。

どのような問題を解決しようとする場合でも、まず原因を特定しなくてはなりません。私は以前にも書きましたが、どのような問題であっても、「日本だから」ということが理由であることは決してありません。その理由はそれとは異なり、また、対処できる問題であることが多いのです。

もし上記のCEOが自分の直面している問題の原因に注意を向けていたならば、それに関する話し合いもより前向きなものとなった可能性が高いと思われます。例えばこのような会話になったのではないでしょうか。

スタッフと話していてわかったのですが、私の前任者は、経営とリーダーシップに関して私とはまるで異なるアプローチをしていたようです。彼は独裁的な傾向があったそうです。彼が命令することには、部下は必ず従うのが当たり前とされていたといいます。 シニアマネージャーでさえ、決定権は殆ど与えてられていませんでした。社員の昇格は年功序列制で、それは会社のルールというわけではなかったのですが、慣例となっていたのです。失敗がなく忍耐強い社員であれば、昇格し、給与も上がるようになっていました。業績や成功に対する報酬などありませんでした。しかし、失敗をしてしまうと、キャリアが危うくなってしまいます。ビジネスのために個人がイニシアチブをとることに利点はなく、単にリスクのみがあったのです。

原因がクリア、具体的で、わかりやすいですね。日本のことを全然知らない役員でも理解できる内容です。この後にはその影響についての説明が続きます。

私のスタッフにとっては、この会社が唯一の雇用主であり、それ以外での経験も持たないのです。その結果、彼らの多くは個人のイニシアチブや変革が自分たちのキャリアにとってのリスクであると感じさせられるようになっており、ビジネスのための新しいアイディアを積極的に創造するといった経験もありません。彼らは政府官僚主義者のように行動するのです。政府官僚主義とかつてのうちの会社の日本ビジネスとは類似点がありましたから。

この説明は理にかなっています。原因は日本ではないのですから、影響も日本とは無関係です。そして次には、あなたの考える解決策について話して下さい。

私が最初に行いたいのは、企業文化や行動様式を、他の国の支社のやり方に沿うように変革することです。スタッフやマネージャーの大半は、少しの手助けさえあれば、我々のやり方を学び、自分たちの行動様式を変えることができると、私は考えています。実際、スタッフの中にはすでにその変革を始める準備ができている者もおり、彼らが先導者になってくれると期待しています。もちろん中にはどうやっても変わらないようなスタッフも少しはいるでしょうし、彼らへの対応も考える必要があります。いかにここでの我々のビジネスを変革していくかについて、是非私の考えを聴いていただけないでしょうか。

違いがお分かりいただけましたでしょうか。こういうアプローチを取ることで、問題は具体的で説明できるものとなり、日本のせいなどとされていルものはありません。この例に挙げたような問題は日本の多くの企業で見られる、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、それがどうだというのでしょう。あなたは日本の社会経済問題の解決法を見出す責任を負わされた政治家でも学者でもないのです。

あなたの仕事は自分の率いる企業を改善することであり、それはどのようなときでも、非常に実行可能なことなのです。

それ以外のことは、日本問題研究家に任せるべきです。