キックスターターとスマートウォッチ「ペブル」の成功例:果たして日本でも通用するか

数ヶ月前、私は当時見たこともないばかりか、製品化もまだされておらず、聞いたこともないグループによって開発中であった腕時計に100ドル以上を払ってしまう、という経験をしました。正気には聞こえないでしょうね。でも実はこんな行動をとったのは私だけではなく、6万9千人を超える人たちも同じことをしたのです。その腕時計とは「ペブル」と名付けられたスマートウォッチで、キックスターターというクラウドファンディングのサービスを利用してその開発の為に集められた資金は、計1千万ドル以上という過去最高額を記録しました。(ある記事によると、最初は10万ドル程度を集めるのが目標だったとか。)

つい先週、その私がオーダーしたペブルが手元に届きました。見た目も良く、iPhoneと簡単に繋げることができます。もちろん自分がこんな素敵な製品を製品化する手助けをした中のひとりなんだと思うと、いい気分にもなります。ペブルとキックスターターはこのようなクールな消費者向け製品を市場に送り出す従来のやり方を改革したといえるでしょう。

pebble

過去20年で、日本の電気製品の魅力はかなり褪せてしまいました。ソニーやシャープ、パナソニックといった大手企業の勢いもすっかりなくなってしまったのが現状です。しかし私は、だからといって日本がクールな感覚を失い、かつてどんどん新技術を造り出していたあの素晴らしい能力をもなくしてしまったとは思っていません。ひょっとしたらキックスターターのようなクラウドファンディングや、ペブル・テクノロジー社を立ち上げたような人たちこそ、今の日本が停滞する電気製品業界を立ち直すために必要としているものかもしれないと考えます。日本人はもともと大人数が協力し合って素晴らしいことを達成する、という文化的な傾向があります。キックスターターのやり方などは、日本人にぴったりかもしれません。

唯一の疑問点は、日本社会が、キックスターターとペブルのケースでも見られたような、ある意味で図々しく、統一もとれていないように見えるビジネスのやり方を受け容れ、また日本政府もこれまでの日本社会では考えられなかったような資金集めの方法を認めるか、というところでしょう。こればかりは私にも予想がつきません。ただ言えるのは、もし日本製のかっこいいスマートウォッチを製品化するお手伝いができ、さらに最初に作られるモデルのひとつを自分のものにできるのであれば、私だったらよろこんで1万円くらい払うだろうということです。あなたもそうすると思いませんか。


プロジェクト45からプロジェクト10へ

テニスの錦織圭選手は現在世界ランキング11位につけており、日本選手では史上初の上位10位入りをするだろうと見られています。これまでの日本人最高ランキングは46位。その為、錦織選手のもともとの目標はしばらくの間、その46位より上に入ること(「プロジェクト45」と呼ばれる)であった。それが今では、「プロジェクト10」へと変わったのです。

錦織選手はプロジェクト45時代はプレッシャーを感じず、まだテニスを趣味の感覚でやっていたと振り返って語っています。それがプロジェクト10になると全然話は違います。プロジェクト10を達成した後はどうなるでしょう。「プロジェクト1」が生まれることになるかもしれませんね。

ビジネスにおいて、我々は、非常に高い目標を自分たち、そして組織に課し、それを達成することもしばしばあります。ではその達成後はどうしていますか。達成感に満足し、そこに留まってはいませんか。成功とは到達地点ではなく、更なるレベルに近づく為のたゆみない努力を指すものです。

そこであなたのプロジェクト45とは何だったのかを考えてみて下さい。そしてその次の、プロジェクト10は見えていますか。錦織選手のように努力を重ね続けることで、あなたの過去の成功も単なる趣味だったかのように感じられるように。


アベノミクスと成長・変化にまつわる本音と建前

先日の参院選は圧倒的な自民党の勝利に終わり、表面上はアベノミクスが国民にサポートされていることが証明されたように見えました。しかし安倍総理がその政治力を駆使して日本が今、大変必要としている真の変化をもたらしてくれるかどうかについては、まだ疑問があります。これまでに成されたことといえば、過去、日本という経済体を成功させる為に行われたことを再度行っただけ。つまり国内経済を助ける為に、円安を引き起こして輸出や政府の消費を促したに過ぎません。一方で、安倍総理は、経済成長のための根本的な改革に取りかかることには乗り気でないように見受けられます。ここで私が述べているのは、姿勢ややり方を大幅に改造することが必要になってくるような改革です。例えば農業部門の自由化、女性雇用の促進、労働者を過度に保護してしまっている法律の撤廃などです。

日本には本音と建前という言葉がありますね。日本社会では、この本音と建前をうまく使い分けることが、成功するために大切になります。しかし、時折、この建前も、場合によってはばかげていると思わされることがあります。

例を挙げてみましょう。日本では、保育士が足りないために、保育園自体の数も大変不足しています。ついこの間、ある政府関係者は、「職場に留まりたい、或いは復職したいという女性が保育園を利用できるように、どうのような措置がとられているのでしょうか。」という質問に対して、「その為に日本政府はロボット産業をサポートしているのです。」と答えていました。つまりそう遠くない将来、我々は子供達の世話をアンドロイドの乳母に任せることができるようになるだろう、というわけです。

日本の中小企業の事業主やリーダー達の多くはアベノミクスによる利益を得ておらず、政府のやり方にもちろん批判的です。しかしながら、まさにその事業主・リーダー達も自分の会社では、政府と同じような行動をとっていることがしばしばです。アベノミクスと同様、過去にうまくいった安心できるやり方を再利用はしますが、それでは会社をゴールへと導くことはできません。彼らは厄介な質問や利害衝突を避けるため、自分なりの建前を並べます。極端なケースですと、自分の建前を信じ始める人もいます。安倍総理の場合は変化を起こすには政治力を駆使する時間が必要という言い訳があるかもしれませんが、企業の事業主やリーダーの場合は、どのような言い訳があるというのでしょう。

真のリーダーシップと変革は建前ではなく本音なのです。我々は中小企業の事業主・リーダーとして、政府のお手本となるような行動をとろうではありませんか。自分の企業の変化と成長は、自分で責任を持ち、コントロールしましょう。そうして初めて政府を堂々と批判することができるというものです。