不要なデータを溜めたままにしていませんか

先週、ニューヨークで、 コンサルティングの殿堂の仲間達と共に、あの有名なカッツ・デリカッセンに行く機会に恵まれました。カッツは1989年にヒットした「恋人達の予感」での食事シーンで一躍知られるようになったレストランです。カッツでは、どうしても食べずにはいられないようなコンビーフサンドイッチに出会いました。ライ麦パンに高々と積まれた1ポンドはあろうかというコンピーフを目にすると、「もう食べられない」というお腹からの訴えにも関わらず、口の方はついつい食べ続けてしまうのです。

カッツは本当に素晴らしいところですが、ある変わった習慣があります。ドアから入ったところで、まず受付の男性に紫色のチケットを渡され、そのチケットは必ず店をd出る時に返すようにと言われます。もしチケットを返さなければ、店から出してもらえないというのです。おまけにそれが何故かという説明は一切なし。ジョークでもありません。私たちの世話をしてくれた素晴らしいウェイターは、「僕は5年前にここに来たときにチケットを失くしてしまって、だから今でもここで働いているんです。あなたもチケットを失くして僕のようにならないように、気をつけて下さいね。」などという冗談を言うほどでした。

私も一緒にいた一流のコンサルタントの友人達も、このチケット制度が一体何の為にあるのか理解できませんでした。もともとは無銭飲食を防ぐために作られたものかとも考えました。しかし他の客が支払いを済ませてレストランを出て行くところを観察したところ、チケットを持っていても、お金を払わないままこっそり出たり、他の客に混ざって出ることも簡単だということがわかり、この仮説は成り立たないという結論に辿り着きました。

多分この紫色のチケットが何故使われるようになったかという理由は、遠い昔に忘れ去られてしまったのでしょう。でも、カッツではその習慣が染み付いてしまっていた為に、未だに人々はそれに従っているのです。このチケット制度のせいで人の出入りにはよけいな時間がかかるし、人の出入りをチェックするにはその為だけの社員がひとり必要です。もちろん顧客にとっても迷惑きわまりない習慣です。チケットは今ではスムーズなプロセスの流れを邪魔するヘドロのような存在になっており、廃止するべきものなのです。

こういった「ヘドロ」はプロセス以外でもよく見受けられます。例えば顧客管理データベース。私が営業マネージメントコンサルティングを行う際にやることのひとつに営業パイプラインのチェックがありますが、顧客管理データベースの50%以上が全然使えないものだったり、悪化していたり、内容がはっきりしなかったりで、排除しなければならないようなことが多々あります。下水道のヘドロと同じで、いらなくなったデータはそのまま放っておくとどんどんたまっていく一方です。顧客管理データベースに残ったヘドロは、効率の低下、ミーティングの長期化、決定の遅れ、曖昧な判断、アクションの遅滞などの原因となります。私のコンサルティイングの殿堂の友人、コリーン・フランシスは、この顧客ベースのヘドロがもたらす現象を、「Garbage in, garbage stays」、つまり「入ってきたゴミがそのままになってること」と呼んでいます。

ここで自分のビジネスのことを考えてみて下さい。最後にデータベースのゴミを排除してきれいにしたのはいつでしたか。このヘドロのせいでビジネスの効率は落ちていませんか。顧客への影響はでていませんか。

企業では、 最適な効率を保つために、定期的にこのヘドロを削除すること、そして可能な限り最初の時点でヘドロがデータベースに入り込むのを防ぐことが大切なのです。


世界観

先週、ニューヨーク滞在中に、つくば市の私の住居の近くで18歳の女性が刺されたというニュースが、息子の通うつくば・インターナショナル・スクールのメールを通して耳に入りました。アメリカに比べると、日本での暴力事件というのはずっと少なく、特につくば市ではまず聞くことがありませんから、これはショックな出来事でした。日本に妻と息子を残しての出張中の出来事でしたので、普段は平和そのものの町のどこかにまだ凶暴な犯罪者が潜んでいるのかと思うと、心配でたまらなくなったのは言うまでもありません。

被害者によると、犯人はマスクをかぶり、片言の日本語をしゃべっていたということで、外国人による犯行ではないかと考えられました。近年日本では外国人による犯罪が増加していると騒がれていますが、私から見ると、大半の犯罪は日本人が日本人に対して行っているように思われます。この被害者のコメントのせいで、警察は外国人容疑者を探して付近をパトロールしたとのことでした。つくばというのは日本を代表する大学もあり、大変国際的なコミュニティーですので、町で外国人を見つけることは簡単です。

私のアメリカ人の友人は、婦人とともにつくばで人気のある英語学校を経営しています。その学校のある英語教師が、休憩時間中に道を挟んだところにあるコンビニエンスストアでちょっと買い物をしようとしたところ、警察に質問のため呼び止められました。このついていない先生はたまたま身分証明書を身に付けないまま外出していました。日本では、外人は常に身分証明書を出せるようにしておくことが義務づけられています。彼はそのことをうっかり忘れていたのでした。ここでどういった会話が交わされたのかは知りませんが、結局、警官は彼が言ったことを証明させる為に、学校まで連れ戻したのだそうです。警官が学校の経営者にいろいろ質問する間、パトカーはあの赤いランプを回したまま学校の前に停められており、生徒達は一体何が起こっているのか気になって仕方がないようでした。結局警察は帰っていきましたが、この一件が学校にある程度のダメージをもたらしたのはご想像頂けるでしょう。日本では、全然罪のない人でも、警察に質問をされているところを見られただけで、妙な疑いを持たれる傾向があります。あっという間に違ったレッテルを貼られてしまうのです。この学校には子供も大人も通っているのですが、日本人の親が警察が質問にくるような学校に自分の子供を通わせたくない、と感じたとしても、私は驚きません。

昨夜のこと、つくば・インターナショナル・スクールの校長先生が、事件の続報のリンクをアップしてくれました。それによると、被害者の女性は警察に噓をつき、実は自分で自分を刺したというのです。彼女の自白は、「自分が嫌いになった。だから自分のことを刺したんです。」というものでした。何故外国人に刺されたなどという話をでっち上げたのかについては触れられていませんでした。

この女性はあきらかに心理的に追いつめられていたようで、彼女を責めたりする気はありませんし、さらに日本社会を非難する為にこれを書いている訳でもありません。もちろん外国人を違った目で見るのは日本だけではないというのは明白です。私がこういった話を耳にする度に感じるのは、特に感情が高まった状態になった時、人間というのはすぐに自分の世界観が合っていることを確かめようとするということです。もし外国人犯罪者が自分の社会に侵入し、罪のない日本人に対して犯罪を行っている、と信じていれば、この若い女性の刺傷事件を耳にした時点で、それが裏付けられたと感じ、すぐに自分なりの結論を導いてしまうことになるのです。(この事件の場合は間違った結論、ということですね。)

人間が成長する為には、自分の中に深く根付いた信念や世界観に疑問を投げかけることが大切です。それでもその世界観が揺るがず、また自分の中の平和感が増し、成功に近づけるというのであれば、それに固執しましょう。しかしそうでない場合は、その世界観を手放し、もっと良いものに変える時期だというサインかもしれません。この刺傷事件でも、もっと理性的な質問を最初に行っていれば、この自殺しようとした女性やつくばの住民にとって、もっと良い結果をもたらせたのではないでしょうか。


ミリオネア・コンサルティング・メンターの殿堂で学んだこと

今、ニューヨークに来ています。一週間滞在したのですが、その締めは、「ミリオネア・コンサルティング・メンターの殿堂」の年に一度の例会。私は昨年、この殿堂入りを果たしました。この殿堂は世界各国からの一流コンサルタントの集まりです。その例会で交わされた貴重なアドバイスや洞察をここで紹介したいと思います。

  1. 日本でも海外でも、ビジネス界に対する楽観的な見方が強まっています。守りに入っていた会社も、最近はまた投資を始めることを検討しています。ですので、顧客や見込み客に新しい価値を提供できるよう、準備しておきましょう。そして自社の機能にも投資できるよう、準備を進めておいて下さい。
  2. インターネットやメールをチェックするのを止めましょう。ある米国の会社は、1日に4時間、故意にオフィス内のコンピューター、モバイル機器のインターネットへのアクセスを停止し、営業スタッフがメール以外の方法でしか顧客と連絡がとれないように仕向けました。その結果は?何と売上が4,500万ドルから6,000万ドルに伸びたというのです。一日中メールをチェックすることはどうしても必要である、などという思い込みは捨てて下さい。
  3. カナダの株式上場をしていない中小企業の大きな悩みは以下のようなものだそうです。

1)    トップ経営陣の能力をプロのレベルに引き上げること

2)    何か起こった後に対策を考えるのではなく、先に先に戦略を練るようにすること

3)    後継プランを立てておくこと(計画的に行われるものと、危機に伴って必要になるものの両方の場合に対して)

御社では、これらの課題について考えていらっしゃいますか。

  1. 顧客管理システムによくある問題は、「不要なデータが排除されることなく、残ったままになる」ということです。御社の顧客管理システムにはどのくらいの不要データが残っていますか。不要物は排除し、営業の流れをすっきりさせましょう。
  2. 二流社員の欠点を直すより、トップ社員の能力を伸ばすことに投資しましょう。その方がずっと投資利益率が高いのです。
  3. テクノロジーを導入することが能率向上にかならずしもつながるわけではない、ということを覚えておいて下さい。テクノロジー導入後、ビジネスの状況は好転しましたか?テクノロジーはビジネスの助けになるべきものであり、逆にビジネスを複雑化させるべきではありません。これはリーダーシップの問題であり、技術的な問題ではないのですから、ビジネスに真に役に立つようなテクノロジーを取り入れることは、リーダーの責任なのです。