先日、小規模な営業チームと、そのマネージャーをコーチングさせて頂いた時のことです。同じ会社の別のチームのいくつかをコーチングした時の経験に比べ、このチームのエネルギーのレベルが低いことを感じました。参加に意欲的でなく、質問も殆どなし。ロールプレイングの役を買って出る人はゼロでした。もしこのチームのことを何も知らなければ、ここで私は全員営業に向いていない人ばかりだ、と結論づけてしまったかもしれません。でも私はこのチームのことを知っていました。このセッションは数ヶ月に渡って計5回行われるセッションの三回目で、また、同じチームのメンバーと共に別のプロジェクトに関わったこともあったからです。何かがおかしい、と思いました。
そこで、セッション後、チームのリーダーに個人的に会い、私の懸念について尋ねてみました。そこで彼女が教えてくれたのはこのようなことでした。5人のチームメンバーのうちの一人はすでに3日後には結婚退職することになっており、また一人は来週、別の部門に嫌々移転させられる予定。さらに他の一人は長期海外出張中の先輩の分の仕事をひとりでこなすのに苦労している、というのです。
我々は他人の態度を判断する時、その背景を考えることなく、単純にその人の性格のせいにしてしまう傾向がある、ということを改めて考えさせられた出来事でした。背景にあるものが変われば、人の態度というのは良い方向にも悪い方向にも変化するものなのです。
組織変革の際、誰かの態度を見てその性格を決めつけようとしていることに気がついたら、そこでちょっと考えてみて下さい。その態度の背景にあるものを調べてみましょう。全ての態度が性格から来ているとは限らないのですから。